サザエさん
ガイド:チップチューンとの相性がいいなぁ~と感心したのが、『サザエさん』のエンディングの「サザエさん一家」。日曜日の夕暮れ時の切ない気持ちが伝わるチップチューンに出来上がっていますね。
伊藤:
さすがにお目が高いですね!ありがとうございます。これは個人的にも会心の出来です。特にイントロのインパクトは今回の中では最高と思いましたので、試聴機対策のため、不自然なくらい早目の曲順にしてあります(笑)。
心労で・・・
ガイド:21曲やられたカヴァーの中で一番苦労したのは、どの曲でしょうか?
伊藤:
全部です(笑)。何しろ「厳しい制限の中で無制限に面白くする」という、自分の首を絞めるようなコンセプトですので、毎回、曲作りの時期が来ると心労で下痢になります(笑)。
その中でも特に時間がかかったのは、「太陽にほえろ! メドレー」ですね。これには明確なストーリーがあります。基本的に、「リスナーに自由に想像してもらいたい」と思っていますので、あまり詳細な解説はしないのですが、あえてこの曲だけ説明させていただきますと次のようになります。
1.「メインテーマ」⇒番組開始。
2.「ジーパン刑事のテーマ」⇒七曲署・捜査一課の電話が鳴り、事件発生。聞き込み捜査開始!
3.「アクション」⇒犯人を追い詰め、高架下で格闘になります。激しい殴り合い!
4.「衝撃のテーマ」⇒犯人は車で逃走。激しいカーチェイス&銃撃戦!
5.「愛のテーマ」⇒犯人を取り押さえ、逮捕。犯人の口から犯行に至った経緯が切々と語られます。これにより、諸事情により追い詰められ、やむを得ずの犯行であったことが判明。
6.「男たちの明日」⇒最後はパトカーで連行され、本編終了。
7.「予告編」⇒これはタイトル通り、次週の予告です。
・・・というように、番組を知っている人にはこれ以上ないほど記号化されてベタな展開になっています(笑)。ある意味、ドラマやストーリーそのものも8bit化しています。
ガイド:
実際、カヴァーしようとしたんだけれど、途中で挫折してしまったようなボツ曲もあったのでしょうか?
伊藤:
先ほどお話しました通り、「8bit化したサウンドがイメージできるかどうか」が選曲の重要なポイントになりますので、頭で鳴らない曲は最初からやりません。ただ、もう一つの大作である「天国への階段」は、原曲が8分もあり、テーマも壮大なので何度も心が折れそうにはなりました(笑)。この原曲は非常に神話的な世界観ですが、今回カヴァーするにあたり、日本的な神話への変換を試みています。これもぜひ聴いていただきたいですね。