これは応援歌なのか?

先生:
助手は『SNOOZER』と小室ネタ好きですよね。小室ネタなら、番長が得意です。TK AIDをやるとか言っていますから。音楽的な意味ではないですが。

さて、「Dream Fighter」ですが、僕はやはり歌詞が凄いなぁというのが正直な感想です。ここで、人生応援歌を作ってしまうのは、驚きです。人生応援歌と言えば、「世界で一つだけの花」「それが大事」「愛は勝つ」「負けないで」「ガッツだぜ!」とかのジャンルですよ。

だって、僕なんかもそうですが、中田Pはどう見たって、文科系、しかもダウナー系に属していそうじゃないですか? 凄く感動しても、感情を出さないタイプ。でも、理想というか世界観はきっちりある。それが、あそこまで、体育会系かつアッパー系の歌詞を書いてしまうとは! そこには、星飛雄馬(=Perfume)を鍛える星一徹(=中田P)のような図式さえ見えてきます。

でも、この手の歌って、下手すると、歌詞やサウンドから“あざとさ”が滲み出てきます。そんなに応援してくれなくっても、いいよみたいな。でも、「Dream Fighter」はその辺を見事にクリアしていますね。「最高を求めて~」と超ポジティヴなサビから始まる曲ですが、「なんだかんだ」とか「実際はたぶん」とかあいまいな表現のAメロで中和、Bメロでうまくサビへもう一度つなぐという・・・天性なのか完璧な計算なのか? 「ツンデレーション」でも同じような危ない橋を渡りましたが、チャレンジャー中田Pはベタなことを天才的に処理しますね。

博士:
応援ソング的な“くささ”は第一印象として禁じえない部分はありあした。 「White Love」で神がかりな完成度を見せたSPEEDが「ALL MY TRUE LOVE」「Precious Time」あたりで急に説教くさくなって来て、徐々に斜陽に向かって行きました。若者への応援歌というのは解るのですが、刹那的で退廃的な歌詞が逆に共感というパターンもあるのです。大人が作為的に歌詞の中で「頑張ろう!」と言った瞬間、くさくなってしまいます。

ところが「Dream Fighter」をよく聞くと、彼女達は「負けるな!」って言ってるんじゃないんですよね。普通はどちらかと言うと理想であり、その理想さえ満足できない、つまり最高を目指す! まさに戦士を宣言していますね。 これは今まであった歌詞のステレオタイプからは外れ、頭の固いおじさんでは何を言ってるのかもよくわからないかも知れません。とにかく彼女達の目指すものを表現しているのだと思いますね。

先生:
確かに、これは応援歌ではないかもしれませんね。応援歌は共感を求めていますが、「Dream Fighter」はあくまで我が道を行く求道者の歌ですね。ありふれた世界を変えるという理想さえ、読み取れます。

助手:
でも、あえて言わせてもらうと僕はこの曲の歌詞は好きではありません。例えば、今までどちらかというと歌詞には言及していなかった先生や博士が、まず歌詞の話を出してしまうように、この歌詞はPerfumeの、というか中田ヤスタカの中では「異例」な存在だといえます。

ボクの持論を結論から言うと、この曲は発注ありきで作られていて、それが悪いほうに転がったんだと考えています。例えば、Perfumeの名を広く世間に知らしめた「ポリリズム」も、後のインタビューなどを読むと発注ありきだったそうです。リサイクルのCMで使うということが最初から決まっていて、曲のタイトルも最初は「ポリリズム」ではなく「リサイクル」だったと。さすがに「リサイクル」はそのまんまじゃん!ってことになって「ポリリズム」になったそうなのですが、おそらくこの曲も「武道館のタイミングに合わせて、夢を実現する応援ソングを!」というお題が最初からあったんじゃないかなあ、と思うんです。もうこれただの妄想ですけどね。

で、たとえば「リサイクル」という行為であったり「バレンタイン」というシーズン性であったりをお題にすると、“ここまではやりすぎだな”というボーダーラインが引きやすいんですが、「応援する」という行為に対するお題の場合、そのボーダーラインの引き方が非常に難しい。結果として“世間一般で言う応援ってこんな感じかな?”という落としどころに落ち着いた印象が否めません。逆にカップリングの「願い」の歌詞のほうが、中田ヤスタカのいい部分が全面に出た「(結果的に)応援ソング」になっていると思うんです。むしろ「願い」をリードにしてもよかったんじゃないかなあ。

先生:
今回、歌詞についてはかなり意見が分かれましたね。基本的に毒のある歌詞が好きなんで、言わんとする事は分からないわけじゃないですが、僕のこれはギリギリOKです。

じゃ、今までのPerfume曲と比べて、楽曲に関しては新しい発見はありますか?