Take me Take me

博士:
「Take me Take me」は、ほとんどインストナンバーと言ってもいい仕上がりですね。声もエフェクトが抑え目です。少ない要素でテクノ感を出すのが巧いですね。ヴィンテージっぽいエレピ音は終始いい感じでグルーブしていて、あと生ギター音の処理も以前解説した中田アレンジのセオリーどおり。電子音はわずかにカウンターで入ってるピコピコ音程度。ベースもかなり生っぽく動きます。珍しく変化を見せる旋律で、これで小じゃれたソロでも入れればにフュージョンのインストナンバーとしてまとまってしまいそうですが、あえてそうしていない所が中田節ですね。オシャレとテクノがせめぎあっている地味ですがテクニカルな秀作ですよ。

助手:
アイドルポップスとしては普通ありえないような曲調なのですが、驚くほどアイドルなポップスに聴こえてくるという、なんとも不思議な曲です。ライヴで「Perfumeの掟」を見たときにも思ったのですが、非アイドル的なことをやればやるほど、逆説的にすごくアイドル的に感じてしまうというのがPerfumeの面白いところです。やっぱりPerfumeはアイドルなんですよ、誰がなんと言おうと。

先生:
ミニマリズムの「Take me Take me」は鳥肌で、その後「シークレットシークレット」に続く流れもいい。アルバムの後半に盛り上げれるのはいいアルバムの証拠なんだと。

シークレットシークレット

博士:
「シークレットシークレット」はズバリcapsuleの「Spider」の流れですね。調性が曖昧なサブドミナント・メジャーセブンスから始まる循環系のマイナー的なアプローチです。メロディーはかなりマイナーでシリアスな感じなのですがちゃんとアイス菓子のかわいいイメージとも被る。これは調性が曖昧な循環系コード進行の妙ですね。イントロのシンセがいかにもレトロフューチャーな、往年の進歩的な作家が良く使った手法です。

先生:
今までありそうでなかった革新的なポップソングになっていますね。楽曲も素晴らしいですが、PVが死にそうにいい。これはPV史に残る奇跡的に素晴らしい作品です。ミッドセンチュリーな曲線のセットでの近未来感といい、ダフト・パンクのようなお姉さんといい、「エレクトロワールド」の衣装と振りつけの組み込まれ方といい、パッツンなかしゆかといい、PVで感動するのは久しぶりです。映像ディレクションをやっている人は、安室奈美恵の「60s 70s 80s」のPVも手がけていますが、近未来の世界観がその場限りのセットではなく、愛情を持ったこだわりさえ感じます。

博士:
無音でPVをチェックしていると、冒頭のじたばたダンスが盆踊りみたいでちょっと面白いですね。

先生:
森永Pinoとのタイアップ曲でもありますが、これが巧妙な具合に刷り込まれています。「Pino」が生まれたのは1976年なんですね。ブランドの入れ替わりが激しい食品業界では、超健闘していると言っていいでしょう。

Butterfly

博士:
「Butterfly」は意外とぐっと来ますよ。YMOの『BGM』で言う所の「Mass」みたいな後半の珠玉の一曲。

先生:
イントロがゴダイゴの「モンキー・マジック」に聴こえてしょうがありません。

博士:
でも、メロディーは久石譲みたい。シーケンスパターンまで、ちょと「風の谷のナウシカ」のフレーズっぽくてそのままオーケストラアレンジしたらそっくりにパロディーできそうです。 ガーシュイン・キングスレーの「ポップコーン」みたいな立つ音色といい、何かシンセの原点を思わせる素直な音使いですね。

助手:
ボクも最初に聴いたときにナウシカがメーヴェで飛んでるシーンが思い浮かんだんです。「これ久石譲じゃん!」って。中田ヤスタカの曲ってどこかしらアニメっぽかったりゲームっぽかったりしますよね。「シークレットシークレット」の冒頭の「ランランラン」とかもそうですし。どうしてもDJ KAWASAKIやMAKAIみたいなモテ系になりきれないヲタ感というか、いい意味での童貞臭というか、それがいいフレイヴァーになってる。

先生:
中田ヤスタカのソロ『Liar Game』が乙女的になったような感じでもあります。