Lovin' You

博士:
上記の様にFM7から始まる下降循環パターンはいわゆるミニー・リパートンの「Lovin' You」のコード進行で、実は使い古された定石であります。

このコード進行は実に綺麗、いや綺麗過ぎる為、このコード進行を意識した場合、どうしてもコードに影響されたメロディーライン、ずばり言うとアルペジオを主体としたラインに走りがちになります。 結果、どこか「Lovin' You」の模造品的になってしまいます。

先生:
「Lovin' You」は、カヴァーが氾濫しているソウルクラシックと呼ばれる名曲です。MISIA、平井堅、アン・ルイス、今井美樹、Monday満ちる、五島良子とかもカヴァーしていますね。驚くことに北島三郎もカヴァーしています。

話を戻しましょう。でも、中田サウンドは、「Lovin' You」の模造品には聴こえないですね。

博士:
はい。中田氏のメロディーラインには全くその片鱗すら感じず、むしろ縦方向においては緻密なラインを保持します。これはすなわち彼自身、けっしてコードから曲を作っているのではなく、メロディー主体で製作し、アレンジ段階において初めて作為的なコード付けがされているか、あるいは彼自身、あくまで感覚で製作し、最後まで実はそのクセすら気が付いていないのではないか・・・と想像できます。

メロディーの解析

先生:
じゃ、具体例で説明してください。

博士:
例えば「コンピューターシティ」「Baby cruising Love」の冒頭の一音目はII音。トニックから換算すると9th。サビドミナントにおいては13th(もしくは6th)。III音へのリエゾンでは有るものの、高いテンションで攻めてきますね。 前説通り、縦方向には緻密、トリッキーな動きをしないのに対し、横方向には割合執拗なのも特徴。この点からも割合モーダルな旋律といえます。

具体的には

1)横方向にトリッキーにシンコペーションしてくるメロディーが多い。
これは流れるようなメロディーという点。 ダンスにも似た傾向があるのだが小節間で動くメロディー。 コードから入る作曲はどうしても小節内でメロディーを作りがちになる。

2)冒頭一拍目から入るメロディーが多い