どうして復活?
ガイド:『original deadcopy』は、解散後6年以上経ってのデビュー・アルバムなるわけですが、どうしてこの時期にDEADCOPYが戻ってきたのでしょうか?
シノダ:
前述のQ熱というバンドを通じてミドリジャージの方たちと親しくなって「CDを作らないか」という話をいただいたのでメンバーに相談した次第です。活動やめて久しいバンドに対してそういう事を言ってもらえるのはバンドとしてほんとに幸せなことだと思いましたし、DEADCOPYは録音という形ではほとんど残っていないので、何か形にしておくのにちょうどいい時期でもありましたし。
イガラシ:
さきほど機材と人間の話をしましたが、人間は時間とともに変化するものです。おそらく、ですが、3人ともそろそろ作ってもいいと思える時期だったからだと思います。そして、ミドリジャージの方に声をかけて頂くタイミングの妙がありました。それまでは声をかけられても、作る気がありませんでした。
偉そうに言えば、私はコンセプトとしてのDEADCOPYは21世紀までもたないと思っていました。しかし、いざ21世紀になってみると、世の中はあまり変わらなかったので、しれっとした顔をして作ってもいいかな、と思ったのは確かです。そして逆に機材やデータは人間ほど変化しないので、人間が気持ちを取り戻せば、やり直すのは簡単だったのです。
シノダ:
しかし、Q熱で自宅録音・ミックスする流れを作っていたので慢心していたのですが、予想以上に打ち込みトラックと演奏トラックの相性が合わず、混ぜるのに四苦八苦だったのでした・・・。
ガイド:
アルバムに収録されているのは、先ほどの「メカパンダ」なんかも含めた初期DEADCOPY曲も多いようですが、今回新しく作ったのはどの曲でしょうか?
イガラシ:
トラックナンバーで言うと、
08. ストローハットカウボーイ
09. 集積回路上の花火
14. ペプシ
の3曲です。私達は当時の解散ライブでも書き下ろしの楽曲をやっていたので、今回も新曲を必ず入れたいと思っていました。
シノダ:
「集積回路上の花火」は、新曲をやるという話が出たときに手元の紙に残っていた詩というかメモにメロディーをつけたものです。まだアルバムの全容は見えていない時期だったのですが、ヒットソング満載のアルバムの隅にあっていつのまにか耳になじんでる地味な曲というのがとても好きなので、そんなポジションをめざして作りました。
ガイド:
かなり長い年月の集大成ですが、一枚のアルバムとして違和感なく出来上がっていますね。直球だと思ったらちょっと捻ってあったりするのが好きです。「自動ドア」など工業製品が基本テーマにあるというのも、DEADCOPYらしさを感じます。
イガラシ:
ありがとうございます。野球がとても好きです。録音に関しては、新しいシステムと老朽化した機材との両方を混ぜて使用したので、速球派と軟投派のピッチャーがひとつの試合で投げている感じです。古い機材は録音するまでが勝負ですが、新しい機材は録音してからのエディットが多彩なので、そこが上手くリリーフできたのだと思います。また工業製品をそのままアイコン化し、ワンアイテムを一曲にするスタイルは、テクノポップの伝統的なコンセプトだと思います。
シノダ:
テクノだからSFという安直な思考展開もあって未来や機械が登場する曲を多く作っていたのですが、現状を批判するためのツールとしてのSFというのはとても良くできていると思うのです。ダイレクトに歌うよりも、笑えるし耳に面白いし、家に帰ってからアレ?なんてこともある。また、敬愛する藤子不二雄的なSF世界=けっこうエグい内容なのに絵柄はホンワカ、みたいな二律背反も曲作りのテーマにしていました。たとえばメカパンダも一見すると軽いコミックソングなんですが、変拍子を持ち込んだり、歌詞も退廃的な色をつけたり、とか。
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