アーバンギャルドとは・・・
アヴァンギャルドではない。アーバンダンスでもない。その作品は童貞処女の逞しい妄想が生み出した狂気の総合芸術です。謎の転校生、浜崎容子を新しく歌姫に迎えた新生アーバンギャルドの『修正主義者』のリリースを記念して、リーダーの松永天馬さんにまず話を伺ってみました。左から、谷地村(Key&Pg)、藤井(VJ&アートワーク)、浜崎(Vo.&処女)、松永(Vo.&童貞&Pg)、瀬々(G.&Pg)(C)Tofu Shirauo |
人格的欠陥
ガイド:松永天馬さん、バラがなくちゃ生きていけないですよね。新生アーバンギャルドについてお伺いする前に、今までのアーバンギャルドの歩みについて教えてください。歌姫がころころ変わってしまったようですが、どうしてなんでしょうか?
松永:
いやあ、どうしてなんでしょうね。今回で四人目の歌姫です。ここまで何度も変わっているのを見ると、ヴォーカル以外のメンバー、ひいてはリーダーである僕自身に治しようのない人格的欠陥があるからだと言ってしまってもいいかもしれません(笑)。公募や本人の希望で選んだことは一度もなく、歴代全てのヴォーカルが僕のスカウトによって選ばれていることも理由の一つだと言えるでしょう。歌姫はバンドの顔であり華、一番偉く、一番大事にされなければなりません。だって「姫」だから。もちろん抽象的な意味合いにおいてですが、全力で恋愛できない相手に奉仕することはできない。つまり結論をいえば、片思いゆえ、です。「女優に翻弄され続ける映画監督」といった心境ですね。
処女喪失
ガイド:処女アルバムの『処女喪失作』での歌姫、鮎川じゅんさんは、神秘的な乙女って感じでとても魅力的でした。きっといっぱい我侭なことされても、許してしまえる、いやもっとお願いしますとこちらからお願いしてしまいそうな。もし、そんな我侭なエピソードがあれば、教えてください。いや、そんなエピソードをここで語ったら、怒られてしまいますかね。
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処女喪失作 |
02. 妊婦はPOP
03. エクリチュールアバンチュールシュール
04. 記念日に
05. アンネ
06. テロル
松永:
以前サエキけんぞうさんをイベントのゲストでお呼びしたとき、鮎川と僕の関係はSMなのではという仮説を立ててらっしゃいました。さえくん鋭い! 分かりやすい我侭なエピソードといえば「唐突な脱退」でしょうか(すみません)。でもこれもSとMのプレイだったんですよ! ドMなんで、逆境に立たされれば立たされるだけ萌えるんです。
マニアの受難
ガイド:アルバム『処女喪失作』でPVにもなっている「エクリチュールアバンチュールシュール」は、マリー・アントワネットの名言「パンが無ければケーキを食べればいいじゃない」から始まり、なんと言いましょうか、ムーンライダーズ的ヌーヴェルヴァーグの世界に満ちています。YMOチルドレンというのは多いですが、ムーンライダーズにかなり感化されているとマニアの一人としては思うのですが、どうでしょうか?
松永:
まさしく「マニアの受難」ですね(笑)。引用しても同世代と知識を共有できないのが口惜しいところですが。「エクリチュール~」のPVはゴダールの『中国女』を引用しているので、その意味でもヌーヴェルヴァーグの世界ですね。ライダーズに対しての愛は何千字でも語り尽くせるのですが、多くのライダーズファン同様、それを語ってしまうと個人的になり過ぎてしまうし、自己愛にも似た醜さを呈することうけ合いなので、書斎の机の引き出しにしまっておきます。かけた鍵はバラの花壇に埋めてしまいましょう。