テクノポップ/アーティストインタヴュー

Dr.Shingoさん、何故ドクターなの?(3ページ目)

ドイツのForteからデビュー、スピード感あふれるトランシーな最新作『INITIATION』を10月11日にドロップするDr.Shingoさんにインタヴュー。でも、何故ドクターなの?

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

中国女

Tribute To YMO
――カヴァー曲続きですが、『Tribute To YMO』(2002年)でカヴァーした「Le Femme Chinoise」は、エギゾ感は抜いて、硬質のエレクトロで、こちらもDr.Shingoさんらしいと、鮮烈に印象に残っています。このトリビュート企画にはどのようなご縁で参加されたんでしょうか?

これは僕が現在所属している日本のレコード会社、ミュージックマインからオファーを頂き参加しました。カヴァー曲を製作した当時に持っていた僕なりのクールなテクノのイメージであの曲をアレンジしてみたら…と思って作ってみました。イメージが強くあったので確か4、5日で完成したと思います。

INITIATION

INITIATION
――では、最新作『INITIATION』について伺いたいと思います。今回のアルバムで、自らの曲をノンストップでDJミックスするという形をとられた理由は?

このアルバムは、製作当時僕が求めていた飾り気がなく、トランシーなサウンドを表現したかった部分と、僕の現在のDJスタイルを披露するという2つの大きなコンセプトがあったからです。

――ポップな1作目と比べると、よりフロア向けでスピード感がありますね。DJとしてのDr.Shingoの部分が強く現れていると感じますが、如何でしょう?

まずスピード感…の部分は、先程述べたトランシーなサウンドにフォーカスしてトラック製作をした結果、スピード感が出たんだと思います。後は2つ目のコンセプトの通り、僕の現在のDJスタイルをより多くの人に知って貰いたいという意図がある為、オリジナルアルバムでありながらDJミックスCDとしての色も強い作品になりました。

アルバムを作るとき、既に最初から自分のオリジナルトラックを自分でDJミックスしようと決めていました。インスピレーションで曲を作っていくケースもあれば、この曲はアルバムの何曲目に入れよう、と意識して作った曲もあります。そうしてデモ曲が20曲位出来ました。この中からトラックをチョイスして、DJミックス用に曲順を考えていった結果あのようなアルバムに仕上がったという訳です。

一つ誤解をして貰いたくないのが、先程僕の最近のDJスタイルを表現したかった、と説明しましたが、それは決してアルバムに収録されているようなサウンドが今の僕のDJスタイルなんだ、という事を表現したかったのではなく、僕がDJをする時の選曲の「流れ」を表現したかったのです。

僕の現在のDJスタイルはドイツ、特にフランクフルト近郊のアーティストの影響を受けて、それを更に自分流にアレンジしたスタイルになっています。じゃあ自分のDJのスタイルはどの様な物で、どんな部分にフォーカスしてもらって聞いてもらいたいかと言うと、それは「選曲」に非常に比重を置いており、与えられたDJのプレイ時間の中で必ず音楽的な緩急をつけ、オーディエンスにダイナミクスを感じさせ、そして音楽の旅に誘う様な感覚を感じて貰いたいという点です。

最初からピークタイムが最後まで続くようなアグレッシブなプレイが好きな人もいれば、終始ディープでミニマルなサウンドの中で、微妙なサウンドの変化を楽しむスタイルもあるかと思います。僕が今表現したいDJスタイルとは、一曲の中にイントロがあって、Aメロやサビがあって、エンディングがある様な、「起承転結」を感じさせるようなスタイルです。技術的に言えば違うレコードを重ね合わせたり、DJのスキルを多用したスタイルとは反対の、全ての選曲に意味があり、そのミックスが濁らない様に注意を払ってDJするハウスDJのスタイルに近いスタイルと言えます。実際にはアルバムを聞いてもらってそれを感じて貰うのが一番だと思いますね。
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