テクノポップ/フューチャーポップ

フューチャーポップのルーツとしての渋谷系(2ページ目)

フューチャーポップってご存知でしょうか? テクノポップをルーツにしますが、ネオ渋谷系ともかぶります。先ずは渋谷系の検証から始めます。早すぎたフューチャーポップとは一体誰?

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

早すぎたフューチャーポップ~Nice Music

では、「テクノ渋谷系」は居たのでしょうか?

テクノ渋谷系の最右翼は、佐藤清喜と清水雄史からなるNice Musicです。ある意味、早すぎたフューチャーポップ。佐藤清喜は後に、Thinksync Integralからmicrostarとして活動したり、宍戸留美の『bambi garden』とかにも参加しています。数年前、WEBで交流のあったNew Orderファンの人が、Nice Music ExplorerというNice Musicに捧げるサイトをやっていたのですが、消滅したようで残念です。

Nice To Meet The Nice Music
Nice Musicの瑞々しいデビュー・アルバム『Nice To Meet The Nice Music』(1993年)。歌は決してうまくないのですが、和めるヴォーカルと郷愁感のあるテクノポップ・サウンドが、不思議な魅力を醸し出しています。「恋する惑星」なんかを聴いていると、Shi-Shonenを髣髴させます。CUTEMENなども参加したEndorphineからのレーベル・コンピにも初期ヴァージョンが収録されいた「パノラマ」は、テクノ全開です。「散歩」と「フロウ」の2曲には、あこがれのコシミハルがコーラスと1部アコーディオンで参加。ラスト曲「グッバイ・サンキュー」はがYMOカヴァーでもお馴染みのArchie Bellsの「Tighten Up!」のイントロで始まるのは、渋谷系の証です(笑)。裏ジャケのナイスお二人は、なかなか爽やかおしゃれ青年です。

Nice Music Now!
ファーストよりもテクノは抑え目、よりネオアコになった『Nice Music Now!』(1994年)。こちらの方が、世間の渋谷系のイメージに合うのかもしれません。シングル先行発売にもなっていたのは、フレンチテクノに仕上げた「LITTLE CHASON DOLL(夢見るシャンソン人形」です。

和風フレンチカヴァー

Across The Universe
これはジャケ買いします。そう、ジャケを描いたのは日本が誇るレトロフューチャー系挿絵画家、小松崎茂です。アルバム・タイトル『Across The Universe』(1994年)の名に恥じない、近未来と宇宙がいっぱいのNice Musicの代表作です。1曲目は、「Future Song」ですよ。2曲目の「Space Ship Goes On」は、彼らの代表曲とも言えるフューチャーポップな快作に仕上がっています。

Pop Ratio
タイトル通り、ポップ度全開の『Pop Patio』(1995年)ですが、彼らのラスト・アルバムとなってしまいました。Nice Musicって、語呂的にもトニー・マンスフィールド(Tony Mansfield)が率いたNew Musikに似ていますよね。そのトニー・マンスフィールド、略してトニマンがリミックスしたのが1曲目でシングルにもなった「KISSはカラーポップ」であります。はい、トニマン・サウンドにちゃんとなっています。作詞はサエキけんぞうであります。2曲目の「Star Parade」は、テクノになったシュガーベイブのようで、私は好きですよ。ポップ中毒ならこのアルバムから買っても良いと思います。

Nice Music・・・渋谷系として注目した人はそれほど居なかったと思いますが、フューチャーポップの源流を見る事ができるわけです。現在廃盤でありますが、中古でも割と廉価で見つかりますので、ぜひコレクションに加えてください。

メンタルスケッチ(佐藤清喜の公式サイト)
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