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『恋のマイアヒ』ヒットの法則(2ページ目)

モルドバのボーイズ・ユニット、O-ZONEの『恋のマイアヒ』はどうしてオリコン1位になったか考えてみました。もし著作権に縛られていたら、このヒットもなかったかも。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

空耳フラッシュでブレイク

t.A.T.u.の場合もそうでしたが、日本でヒットするまで足掛け2年程が掛かっていますね。アメリカやイギリスといった洋楽輸出国でない場合、本国でヒットしても世界的に拡大するのはまだまだ難しいのが実情です。日本でのヒットのきっかけはやはり、マイヤヒー・フラッシュなどの空耳フラッシュがネットでブレイクした事。意外な事に、アメリカのゲーリー君が、元祖フラッシュ(ヌマヌマダンス・フラッシュと呼ぶべきでしょう)を作ったみたいです。でも、音楽保守王国アメリカのチャートでは1位になることはないでしょう。

著作権上の問題?

しかし、これだけなら、日本での大ヒットは無理だったでしょう。10位以内も無理だったかもしれない。空耳フラッシュではO-ZONEの原曲を使用していますので、当然著作権上の問題となります。フラッシュ映像も2ちゃんねるのAAのネコ(タカラ商標登録事件も起こりましたね)だけなら問題にならないでしょうが、著作権や肖像権の観点からの承諾が必要かと思われる画像が使用されている場合もあります。つまり、フラッシュ制作や公開をしている人は権利保有者にヘタをすると訴えられてしまう弱い立場なんです。シュワちゃんに訴えられたDJヘルのように。

今回、avexは空耳フラッシュを見事にマーケティングのツールとして利用しています。これは間違いなく英断です。頭が悪いではなくいいレーベルです。ジャケは空耳フラッシュをモチーフに、タイトルも「恋のマイアヒ」(どうしてオリジナルの「マイヤヒ」ではないのでしょう?)、そしてCDエクストラとして空耳フラッシュ「恋のマイアヒ~ねこねこ空耳 恋ver.」を収録しています。O-ZONEの公式サイトでは、堂々とフラッシュ制作者ともコラボをしている事も明言しています。他のフラッシュなどについても良い意味で大目に見るだけの度量を期待したいものです。

マッシュアップの話とも通じますね。アンダーグラウンドから始まったマッシュアップの音源の多くも著作権上問題があります。しかし、マッシュアップDJの中にはその才能から認められる人たちも居るわけです。カイリー・ミノーグやクリスチーナ・アギレラのように恩恵を受けたと思われる人たちもいます。

【今回の提言】

著作権なんか無視してもいいのだと主張するつもりはありません。しかし、著作権でがんじがらめにしてしまったら、きっと音楽もネットもつまらなくなるでしょう。多くの文化は育たないと思います。良い意味で大目に見るという柔軟な考え方が必要です。

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