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REMIX マッカートニー(2ページ目)

ビートルズ時代から実験精神溢れるポール・マッカートニーですが、Twin Freaks名義でリミックスを某マッシュ・アップDJと発表! いまどきのDJによるマッカートニー・リミックスの世界。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

ポール+フリーランス=Twin Freaks

ポールがテクノ~ニューウェイヴ全盛の時代にテクノポップしたアルバム『McCartney II』(1980年)については、また詳しく考察したいと思いますが、先ずは新鮮なネタから。それは、2005年6月にアナログ2枚組のみでリリースされた『Twin Freaks』。CDリリースの予定はありませんが、Twin Freaks公式サイトMoraなどでダウンロードできます。ただ残念なのが、WMAかATRAC3というフォーマットでの音源しかない事です。MP3およびAACのフォーマットでイギリスのiTune Music Storeにはあるのですが、アメリカには2005年7月11日時点ではありませんでした。

amazon.co.jpにあるCDは、ジャケ写からリンクできます。(amazon.co.jpにない場合、海外のamazonや他の通販サイトへ)
A1. Really Love You (『Flaming Pie』)
A2. Long Haired Lady [Reprise] (『Ram』)
A3. Rinse The Raindrops (『Driving Rain』)
B1. Darkroom (『McCartney II』)
B2. Live And Let Die (シングル『Live And Let Die』)
B3. Temporary Secretary (『McCartney II』)
C1. What's That You're Doing (『Tug Of War』)
C2. Oh Woman, Oh Why (シングル『Another Day』のB面)
C3. Mumbo (『Wild Life』)
D1. Lalula
D2. Coming Up (『McCartney II』)
D3. Maybe I'm Amazed (『Wings Over America』)


ジャケのアートを描いたのはポール。エグゼグティヴ・プロデューサーはポール自身、そしてプロデューサーとして、フリーランス・ヘルライザー(Freelance Hellraiser)がクレジットされています。Twin Freaksというのは、ポールとフリーランスのプロジェクト名義と考えて良いでしょう。フリーランスは、クリスティーナ・アギレラの「Genie In A Bottle」とストロークス(The Strokes)の「Hard To Explain」をマッシュ・アップしたリミキサーです。
Freelance Hellraiser公式ページはいい感じの変人ぶりを発揮しており、Discographyでは何故かアギレラ写真に日本のAVネタのような写真が使われています。どうやら、彼のマッシュ・アップはポールの目に留まり、2004年のヨーロッパ・ツアーでのオープニングDJとしてポール作品のリミックスをプレイしていた事がこのような形に発展したようです。だから、全てのトラックは「04 Summer Tour Remix」なんです。実は、2003年時点で僕はマッシュ・アップについて彼にインタヴューを申し込んでおり、OKを貰いつつ、忙しくなったらしく、実現しなかったのです・・・そういう訳だったのですね。

リミックスの選曲は新旧取り混ぜて、ヒット曲リミックスになっていないのが個人的には嬉しいです。既にテクノ度が高い『McCartney II』から3曲選んでいるのは、納得がいきます。また、「What's That You're Doing」は「Evony And Ivory」と一緒にスティーヴィ・ワンダーと共作した曲ですが、ヴォーカル部分はスティーヴィが目立っており、まるでスティーヴィのリミックスのようです。

一番面白いのは、2枚目のB面(D1~D3)です。「Lalula」はタイトルからしても既存曲になく、ポールの複数の曲(『Red Rose Speedway』収録の「Loup (1st Indian On The Moon)」『Back To The Egg』収録の「Old Siam Sir」やクラシック・アルバム『Standing Stone』のトラックなどから)をマッシュ・アップ(どちらかと言うとコラージュが表現として近い)した思われるロボ声チューン(直接関係ないですが、@TOWER.JPでのロボ音楽特集は必読!)。「Coming Up」は「Coming Up」と『Band On The Run』収録の「Nineteen Hundred And Eighty Five(西暦1985年)」をマッシュ・アップしたものだと思われます。最後の「Maybe I'm Amazed」は、アルバム『McCartney』からではなくライヴ・ヴァージョンのリミックスのようです。12インチ・シングルは『Really Love You』(2005年)が「Lalula」とカップリングされてリリースされています。
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