テクノポップ/テクノポップ関連情報

加藤和彦と和製ニューウェイヴ(3ページ目)

レゲエ歌謡を掘っていくと、YMO人脈とも被り、その裏番長というべき人物にぶち当たる。加藤和彦こそがキーマン。そして、続く和製ニューウェイヴ・レゲエ。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

後藤次利周辺

【先生】サディスティックスがらみでは、後藤次利がコピーライター(杉山恒太郎:「ピカピカの一年生」で知られる)、イラストレーター、エンジニアを加え結成したバンド、Goto's Teamのアルバム『Beyond The End Mark』(1980年)のタイトル曲も、もろニューウェイヴ・スカですね。他、収録の「G」やメロンもカヴァーしてた「Fly Me To The Moon」は、かなり早いダブをやっています。 ペッカー(Pecker)というその周辺のパーカッショニストが居ますね。

【山本】ペッカーといえば、スペシャルズもカヴァーしたボブ・マーリィの名曲「コンクリート・ジャングル」をシングルB面でカヴァーしてるらしいんですよ。うー聴きたい。欲しい。トニー吉田さん情報です。

【先生】シングルは持っていませんが、ペッカーのアルバム『Pecker Power』(1980年)にも収録されていますね。これがなかなか凄い作品なんです。な、なんとザ・ウェイラーズ、スライ&ロビー、大村憲司、吉田美奈子などが参加して、ジャマイカで録音しているんです。レコード会社の分類に困ったようで、「ジャマイカ風融合音楽(フュージョン・ミュージック)」と帯に書いています。

続いて、後藤次利のアレンジで、大村憲司、松武秀樹なども参加した『カラー・デ・ケチョップ』(1983年)というミニアルバムも出しています。ジャケには「大衆向けニューウェイヴです!楽しいPOP!!!」とありますが、無国籍ファンク・ニューウェイヴ感が漂うアルバムですが、その中の「Magic Banana」というのがニューウェイヴ・レゲエ・チューンです。後藤次利と言えば、スカ歌謡を手がけたらしいですね。

【山本】ブラディ・メリーの「ヴードゥ・チャイル」(1981年の1stアルバム『The Bloody Mary』からシングル・カット) ですね。ブラディ・メリーは、ジャズ/アヴァン系ギタリストの高田弘太郎ほかによる歌謡ニューウェイヴ・バンドで、同じ年にリリースされた斉藤哲夫のアルバム『いつもミュージック』でも演奏を務めているようです。 さて、「ヴードゥ・チャイル」ですが、粒のたったカッティング・ギターといい、疾走するオルガンといい、この時期の和製スカ・ビートものとしては、非常にクオリティが高いです。臭みのある歌謡メロディーは好みが分かれるでしょうが、私は大好きです。アルバム中でスカものはこれ一曲だけなんですが、プロデューサーの後藤次利の趣味なのか、作曲の水谷公夫の仕業なのかは、ちょっと判断に迷うところです。水谷氏は、前述した南こうせつ「たぬき囃子」の編曲者という前科もありますからね。
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