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ポップの錬金術師~Part 1 ミルク&ハニー・バンドの生活(2ページ目)

自称「国際的な謎の切れ者」、XTCのアンディ・パートリッジが大推薦する、メロディーとハーモニーとカッテイング・ギターが奏でるモダンポップの逆襲。久々の英国の良心。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

レヴィテイションにいたボブ・ホワイト

MHBは、まるで新人バンドのような扱いをされていますが、ロバート・ホワイト(通称ボブ)は、元House Of Loveのテリー・ビッカーズ(Terry Bickers)が結成したレヴィテイション(Levitation)というバンドのキーボーディストでした。オリジナル・アルバムとしては、Rough Tradeから『Need for Not』(1992年)をリリースしており、プログレっぽいU2のようで、まだポップのマジックは開花していません。曲のクレジットは、バンド名になっていますが、ボブのソングライターとしての貢献はまだ大きくなかったのでしょう。

ミルク&ハニー・バンドの始まり

レヴィテイションは、『Meanwhile Gardens』(1994年)のオーストラリアのみでのリリースを最後にバンドは消滅。同年、ボブは、ソロ・プロジェクトとしてのMBHを立ち上げます。同じく、Rough Tradeよりファースト・アルバム『Round The Sun』(1994年)をリリース。「SELECT」誌において、「ブライアン・ウィルソンの精神を喚起する、バロック風味を添えたビートリッシュな原始のサイケデリア」と評されたらしい。GEMMを通じて、$37(送料込み)も払って手に入れる羽目になったのですが、後のMBHのモダンポップ・サウンドの予兆は見られますが、アンクル・レイ(Uncle Ray)をギタリストに迎えて、当時のUKの空気ともシンクロしたサイケデリック志向が強い内容。ちょっとビートリッシュなシューゲイザーという感じ。

01. Tin Cans
02. Not Heaven
03. Another Perfect Day
04. Out Of Nowhere
05. Tea
06. Round The Sun
07. Pier View
08. Puerto
09. Off My Hands
10. Light
11. Raining
12. Bird Song


前回のリリースから7年後、4年の歳月をかけてレコーディングされたのがアルバム『Boy From The Moon』(2001年)。この時点で、メンバーは現在の編成の3人となっている。タイトル曲は、フォーキーな出だしなんですが、盛り上がりでサイケデリックな展開になるのが美しいメロディ・ポップ。メロディー・メーカーとしての才能をまるで誇示するような、美しすぎるメランコリックな「Sold My Star」。3曲目の「Junior」は、「Message」と改名されて、最初の3曲は次のアルバムで再収録されています。やはり、持ち越された3曲が特に光っており、彼らの持ち味を感じさせてくれるが、全体的には声質がニール・フィンに近い事もあり、Crowded House的なメロディアスかつメロウな路線です。その中でも、8曲目の「San Francisco」は、このアルバムを買う価値を与えてくれる背筋がぞくっと来るメロディアス・チューン。

01. Boy From The Moon
02. Sold My Star
03. Junior
04. Touched The Sun
05. 500 Miles
06. Apricot Sundial
07. Wonderful
08. San Francisco
09. You're The One
10. Heartache Bell
11. Saved Again
12. Can't Sleep
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