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ポップ裏街道~Part 1 バスタードポップとは?(3ページ目)

じわじわとブームの予感がする怪しきブートレグの世界からやって来た、バスタードポップとは何なんだ? Sugababesを全英1位にしたブート野郎とは?

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

ブート・プロジェクトGirls On Top

その代表格と言えば、リチャードX(Richard X)。写真で見る限り、オタク系DJオヤジなルックス。リチャードXは、2001年にGirls On Top名義でウィットニー・ヒューストンの「I Wanna Dance With Somebody」とクラフトワークの「Numbers」をマッシュ・アップした『I Wanna Dance With Numbers』でブートレガーとしてのデビューを果たす。『Man Machine』のジャケに4人のウィットニーが写っており、ジャケまでもマッシュ・アップする凝りよう(↓のリンクで見れます)。雑誌(「Record Collector」)でのクラフトワーク大ファンのリチャードX自身の発言・・・「クラフトワークは、彼らが聴いた中で最悪のレコードだと思っているはず。でも、彼らが見た中で最高のジャケさ」。B面は、リチャードX自身がこれまた大好きなヒューマン・リーグの「Being Boiled」とTLCの「No Scrubs」で「Being Scrubbed」。両方とも、彼が好きな、テクノポップとR&Bの合体です。

続くリリースが『We Don't Give A Damn About Our Friends』。これは、アディーナ・ハワード(Adina Howard)の「Freak Like Me」とゲーリー・ニューマン(Gary Numan)の「Are "Friends" Electric?」で、同じくR&B系とテクノポップの合体です。B面も、The Normalの「Warm Leatherette」とマドンナとGAPのCMの出演中のミッシー・エリオット(Missy Elliott)の「She's A Bitch」で「Warm Bitch」とこだわり続けます。このようなブートのリリースは著作権上、問題ありでしょう。しかし、リリース数も限られているため、黙認されているケースも多いようです(でも、保証しません)。そして、賢いレコード会社なら、訴訟なんかしないで、それをビジネスに生かしていくわけです。

richardx.net(PV、インタヴューなどが見れます)
Black Melody(Girls On Topをリリースしていたレーベル)

amazon.co.jpにあるCDは、ジャケ写からリンクできます。(amazon.co.jpにない場合、海外のamazonや他の通販サイトへ)
それまで同じアイドル・トリオであったアトミック☆キトゥン(Atomic Kitten)に一歩遅れた感があったシュガーベイブス(Sugababes)ですが、リチャードXがプロデューサーとして前述の「We Don't Give A Damn About Our Friends」を下敷きにし、シュガーベイブスがヴォーカルをとり(すなわちブートのマッシュ・アップをカヴァー)再レコーディングしたシングル『Freak Like Me』(2002年)でUKチャート1位に輝きます。これは、シュガーベイブスにとって大きな成功となりましたが、長らくの間無視されていた感もあるゲーリー・ニューマンにとっても再評価と言えるでしょう。特に、初期のゲーリーは輝いていました。裏社会のブート野郎、リチャードXは今や時代と寵児となる。マッシュ・アップ系の中でも、クロス・ジャンルな知識をもち、マッシュ・アップという手法を使いながらも、元の楽曲に新しい息吹を吹き込むことの出来たリチャードXの才能によるものです。

sugababes - UNIVERSAL INTERNATIONAL
『イギリスのプッチモニ!』
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