テクノポップ/海外のテクノポップ

警告!t.A.T.u.来襲

ついにタトゥー(t.A.T.u.)の日本盤が3月5日にリリース。欧州席捲、全英制覇、全米旋風の次は、日本。アルバムは、堂々のオリコン・ウィークリー・チャート1位達成!

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

t.A.T.u.旋風は、ついに日本にもやって来ました。日本語表記は「タトゥー」か「タトゥ」が難しいところですが、日本のユニバーサル・ミュージックは「タトゥー」と表記しているので、それに合わせることにします。『Taty~ロシアより愛をこめて』という最初のタトゥーに関する記事を2002年の6月5日に掲載したのですが、その時はそれほど反応が無かったのです。そして、『Taty~モスクワ大作戦!!』をしつこく3週間後に書いたのですが、ほぼ無風状態。

2002年8月には、アメリカとヨーロッパへの進出が始まったこともあり、ロシアと東欧でしか知られていなかったタトゥーは徐々に知名度を上げていきます。ロシア語が中心だったタトゥー関連サイトですが、英語のファン・サイトも増えてきます。日本でも、一部のロシア音楽愛好家、テクノ系ファン、ポップアイドル・マニアたちに知られるようになってきますが、2002年クリスマスに掲載した『t.A.T.u.~レズビアン・シック』の記事も、掲載1ヶ月ほどはヒット数としては中の上程度でした。

急激な変化が現れたのは、2003年1月27日の週。1ヶ月ほどたった記事であるにもかかわらず、ヒット数が急激に上昇。ついに日本でもブレイクの予感です。この次の週の2月3日には、ネット上で「タトゥーのデビュー・シングル『All The Things She Said』がイギリスのチャートで前週の177位から急上昇し、チャート2週目で1位!」という速報が流されます。既にイタリア、スペイン、スイス、オーストリアなどの欧州大陸諸国では1位になっていたのですが、やはり音楽王国イギリスのチャートで1位になることは、ニュース性が大きいです。

(左ジャケ写は12インチ・シングルと同じジャケのポスター付きヨーロッパ盤)
2月5日には、「英BBCテレビは、タトゥーの2人のキスシーンが物議をかもしているプロモーションビデオの放映を見合わせる方針を示した。」との速報が流れる。

これはもう、術中にはまったとしか言いようの無い、確信犯的プロモーション効果を引き起こします。レコード会社は、きっと「BBC様、やってくれちゃいましたね、やっぱり。ありがとう。」とほくそえんでいるでしょう。結果、イギリスで『All The Things She Said』は3週連続1位を確保しました。日本のUniversal Internationalのt.A.T.u.のサイトでも「英BBCテレビが放送を見合わせた話題のPV試聴できます」と何だか今回の騒動を勲章のように宣伝に使っています。

12月にアメリカで発売になった『200 Km/H IN THE WRONG LANE』は、大手外資系レコード店を中心に1月頃からPUSHをし始めていました。近隣のタワーレコードでも試聴コーナーができ、「問い合わせ殺到!」とコメント入り。この時点で、でかいタトゥーの宣伝ボードまで作ってディスプレイしています。TSUTAYAでも『All The Things She Said』が流されていたという身近になりつつあるタトゥー。

2月に入って日本のメディアも注目し始めたようです。2月15日には、通称「大スポ」、大阪スポーツ(関東では東京スポーツ)でさえもタトゥーを記事にします。電車の中で偶然発見。一面では「超人気【女性歌手】レズキス写真」との見出し。「長瀬」の右下です。「問題の新曲プロモーションビデオを本紙が"独占入手"」とかなり威張っています。そんなに入手するのは難しくないのですが...

輸入盤『200 Km/H IN THE WRONG LANE』は、既にこの時点で日本において2万枚を売ったとの事。下世話なイギリスのタブロイド紙「THE SUN」では、プロデューサーのイワン・シャポヴァーロフのメディアを煽動するようなインタヴューが掲載されました。なんだか、確信犯っぽい。
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