『恋をしちゃいました!』の秀逸なアレンジが認められた証拠だと思いますが、久々の知的サル系美形アイドル、松浦亜弥の『トロピカ~ル恋して~る』のアレンジも担当。
こちらは、どちらかと言えば、両親を不安の底に落としいれる夏の風物詩的ハッピィー・アイドル歌謡の路線です。しかし、「トロピカルなキッス」ってなんなんだ?
続いて、出たのが『LOVE涙色』。『ドッキドキ!LOVEメール』に続くつんく♂が好きなメールがテーマのメロウ・アイドル歌謡です。
この曲における渡部チェルのアレンジは、冴えまくっています。MUSIC MAGAZINEで、一番読みごたえのある記事を書いている「これがヒットよ!」の石井 恒が、「ベスト・アルバム2001」で歌謡曲/ポップス部門で、1位に押したものの却下されてしまった曲です(でも、アルバムじゃないじゃん)。サビを前面に押し出した、素晴らしい構成です。つんく♂×渡辺チェル×松浦亜弥のすべてが、見事に噛み合っています。
チャート2位と好調のファースト・アルバム『ファーストKISS』では、既出のシングル収録に加えて、ラスト曲『初めて唇を重ねた夜』の編曲も渡部チェルが担当しています。
こちらは、オーソドックスなバラードですが。アルバム曲のクレジットを見ていると、元ジューシィ・フルーツの東京キケン野郎、沖山優司もベースで参加しています。
そして、ミニモニ。の変名ユニット、ミニハムずの『ミニハムずの愛の唄』で、凄いアレンジをしています。アニソン編曲者でもある渡部チェルにこの仕事がまかされたのは納得がいくのですが、羊の皮を被った狼のような曲です。間奏のオルガンの部分は、サイケデリックなトリップ感。ドアーズの『ハートに火をつけて』をこの曲の後に、ぜひ聴いてください。
しかし、こんなアレンジを子供向けの曲にするとは、確信犯です。3曲目にして初めてチャート1位を取れなかった曲ですが、チャート順位とクオリティは必ずしも結びつかないので、気にしないでおきましょう。
これからも渡部チェル仕事、楽しみです。
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