今回は、ちょっと原点に戻ってテクノのルーツについて。とは言うものの、クラフトワーク(Kraftwerk)とYMOに関して語る事には多少の抵抗があります。もちろん、好きだし、リスペクトしているのですが、この2つのユニットについては僕なんかよりもっと凄いマニアな人たちが世界中に居るからです。でも、敢えて書きます。「クラフトワークを語らずして、テクノポップ在らず」ですから。
さて、卑近な話題として、ちょっと前ですが、ヴォルフガング・フリューア(Wolfgang Flür)著の『クラフトワーク ロボット時代(KRAFTWERK ICH WAR EIN ROBOTER)』が2001年4月8日に発刊されました。定価3,500円(税抜き)の高価な本です。
翻訳は、もうひとつのクラフトワーク本『クラフトワーク <マンマシーンとミュージック>』(Pascal Bussy著、1994年初版)も手掛けた明石正紀です。ドイツ版、イギリス版、アメリカ版、日本版があり、全て表紙が違います。ウルフガングの回顧録でもありますが、石野卓球のキャッチ・コピー『人間機械の告白。日本でグルーピーを!!!』からも推測できるように、(クラフトワーク側にとっては)ある種の暴露本です。
クラフトワークを脱退したヴォルフガングは、現在YAMO(Mouse On Marsともコラボレーション)として活動している。もう一人の脱退メンバーであるカール・バルトス(Karl Bartos)は、Electric Music(最初はElektric Musicと表記)及びソロ名義(シングル『15 Minutes Of Fame』を2000年にリリース)で活動中である。
この本から、ヴォルフガングのクラフトワーク創設者のラルフ・ヒュッター(Ralf Hütter)&フローリアン・シュナイダー(Florian Schneider)に対する愛憎とも言える複雑な心境が読み取れる。メンバーになれた事に感謝はしているが、ラルフ&フローリアンの(株)クラフトワークに於ける階級制度に対しての憤懣やる方ない思い。