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アシッド・ジャズの系譜からソウルを理解!(2ページ目)

インコグニート、グループ結成26周年。いまだ現役の最強グループが通算11枚目となるアルバムを発売。ということで、今回はインコグニートを舞台にアシッド・ジャズの遺伝子を汲んだ代表アーティストにも注目!

執筆者:古賀 忍

熱い支持を集める新たな切り口と、たっぷりの遊びごころ
ブラン・ニュー・ヘヴィーズ

Brand New Heavie 『S.T』
91年作品。70'sソウルとファンクのレア・グルーヴを見事生演奏!
インコグニートが切り開いた新たなジャンルをムーヴメントにまで押し上げたブラン・ニュー・ヘヴィーズ。サイモン・バーソロミュー、アンドリュー・リーヴ、ジャン・キンケイドの中心メンバー3人を軸に、70'sソウルとファンクのレア・グルーヴを見事生演奏でアレンジすることに成功。特に女性ヴォーカルをリードにもってくるなど、新たな切り口で熱い支持を受けたアーティストである。

代表曲は「Never Stop」。イギリスのみならず全米をも支配した大ヒット曲だ。日本でもこの曲からUKソウルに目覚めたリスナーは多いはず。遊びごころたっぷりな彼らのジャム・セッションは、唯一無二なものだ。

アシッド・ジャズに埋もれたグラウンド・ビート
Soul II Soul

Soul II Soul 『Keep On Movin'』
89年作品。ブレイクビーツの原点ともいえる名作中の名作!
80年代後期、アシッド・ジャズが確立する一方で、近未来を匂わすグラウンド・ビートという新たなムーヴメントが起こっていた。将来的に飛躍したのがこのジャンルになったのは間違いないが、当時は革命的過ぎたのかコア・ユーザーだけにウケまくった。その中でも世界にそのサウンドを認知させた代表アーティストといえばウーキー率いるソウル・II・ソウルだ。

ブレイクビーツの原点ともいえる最先端でクールなサウンド、USソウルを巧みに起用したルーツ回帰で斬新な展開──後にこのサウンドがUKガラージ、ドラムン・ベース、そして2ステップを生み出していくことになろうとは誰が想像しただろうか。「Keep On Movin'」の凄さは今でも色褪せていない。

アシッド・ジャズ&グラウンド・ビートが融合したD-Infuluence

D-Infuluence 『Good 4 We』
92年作品。スムース・クラシックスの先駆者的な存在!
UKソウルの屋台骨、アシッド・ジャズとグラウンド・ビートのセンターラインを走りぬけ、スムースでクラシックなUKサウンドを創作した先駆者、ディー・インフルエンス。ファンキーなアシッド要素をちらつかせながらも、グラウンド・ビートの代名詞、ソウル・II・ソウルのルーツに回帰した、ブルージーでストリングな味付けも忘れない、きめ細やかな仕事ぶりには定評あり。

ディー・インフルエンスは、サラ・アン・ウェッブのUSソウル仕込でダイナミックなヴォーカルが堪能できる「I'm The One」を筆頭に「Funny(How Things Change)」「Changes」などコンスタントにヒット曲を連発している。アンダーグラウンドなイメージがあるが、意外とハマるアーティストだ。

ジャズとヒップホップの融合系 Us3

Us3 『Hand On The Torch』
93年作品。名曲「カンタループ」を収録した歴史的な名盤!
アシッド・ジャズ史上最高のセールスを獲得したアス・スリー。彼らはジャズの名門レーベル「ブルー・ノート」に在籍する本家ジャズ畑のグループである。一般ではアシッド・ジャズにカテゴライズされるが、彼らのサウンドはジャズとヒップホップを融合させた“ニュー・ジャズ・ヒップホップ”が正式なポジション(でもアシッド・ジャズにカテゴライズしてもOKです)。

彼らは93年に『Hand On The Torch』でデビュー。ジャズ・クラシックスをズバ抜けたレベルで解体し、そこにヒップホップ要素を流し込み再構築。今までのアシッド・ジャズでは成しえなかった、よりダンサンブルな次世代サウンドの創作に見事成功している。

そしてその代表曲が、伝説となっている「カンタループ」だ。この曲はレーベルメイト、ハービー・ハンコックの名曲「カンタループ・アイランド」をサンプリングした究極の逸品。アシッド・ジャズ界だけでなく、なんと「ブルー・ノート」史上でも最高のセールスを記録している。

アシッド・ジャズの完成形 ジャミロクワイ

Jamiroquai 『travelling Without Moving』 96年作品。ソウルの過去と未来を繋いだ異次元空間!
アシッド・ジャズに関わらず、UKサウンドそのものを牽引しているケイ・ジェイ=ジャミロクワイ。93年のデビューアルバム『Emergency On Planet Earth』には、アシッド・ジャズの完成形を見たような衝撃を覚える。

UKソウルの息吹、レア・グルーヴからアシッド/グラウンド・ビート、そしてそこから枝分かれしていくガラージ、ジャングル、ドラムン・ベースやブレイク・ビーツのソース的サウンド。ジャミロクワイは、そんなあらゆるスパイスをアシッド・ジャズで包み込み、そこに本場ブラック・ファンクを注ぎ込んだ。

その70'sっぽくて幻覚的な混合ブラック・ミュージックの先には何があるのだろうか。これこそ「未知との遭遇」の世界。すでにアシッド・ジャズの範囲を超越した彼のサウンドは、12年たった現代でも色褪せることなく、いまだ進化し続けているのだ。



インコグニートらが開拓したアシッド・ジャズの世界はいかがでしたか?
ソウル・ミュージックとジャズを見事にアレンジした彼らのサウンド。UKソウルの飛躍はまさにここからって感じですよね。

【関連サイト】
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