人々は常にそうした矛盾に悩み岐路に立たされ、何が≪Do The Right Thing(正しい事)≫なのかを悩み続ける。
ただ唯一、パーフェクト・ワールドがあるとするならば
「兄弟達よ 今日のおれには言う言葉がない。この目で見ながら信じられなかった。君らは仲良く暮らしていきたくないのか? こちらは≪ウィ・ラブ・ラジオ≫局。しゃべっているおれは?愛のダディ?まぎれもない真実(トゥルース)だよ ルース」……。
またこの作品において?平和的共存?という理想をカタチにする術として<音楽>が重要なマテリアルとして使われている。
人間が抱えた自己矛盾≪love and Hate≫を語るのはヒップホップ好きのラジオ・ラヒームであり、「では、以下の人々に感謝しよう。(~黒人アーティストの名前をアナウンス~)あんた方のお陰で我々は毎日の暮らしに絶えている」とラジオDJには語らせる。そして平和を訴えるのもラジオDJであった。
この作品のもうひとつのメッセージ、希望的観測としてスパイクが表現したかったこと、それは「黒人は様々な弾圧や差別に晒されながらも<音楽>及び<スポーツ><思想>などといった≪文化的側面≫においては他の民族に勝り誇示すべくものであり、黒人社会における<文化>の存在は他社会に黒人の人権確立を主張するにはあまりにも有意義な道具である」ということなのかもしれない。
この作品全編をエキサイティングに演出する主題歌は、パブリッック・エネミーの“Fight The Power(権力と戦え)”。
つまりは黒人の権利を獲得する/自由を獲得する/平和を獲得するには、<拳(暴力)>ではなく<知性(文化)>で勝ち取れと……。
『 DO THE RIGHT THING 』 サントラ
1.Fight The Power/PUBLIC ENEMY 2.MY FANTASY/TEDDY RILEY featuring GUY 3.Party Hearty/E.U. 4.Can't Stand It/STEEL PULSE 5.Why Don't We Try/KEITH JOHN 6.Feel So Good/PERRI 7.Don't ShootMe/TAKE6 8.Hard To Say/LORI PERRY and GERALD ALSTON 9.Prove To ME/PERRI 10.Never Explain Love/AL JARREAU 11.Tu Y Yo/RUBEN BLADES~We Love(jingle)/TAKE6 12.Fight The Power(Extended Version)/PUBLIC ENEMY 13.Fight The Power(Powersax)/PUBLIC ENEMY 14.MY FANTASY(Extended Version)/TEDDY RILEY featuring GUY 15.MY FANTASY(Rap Version)/TEDDY RILEY featuring GUY
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