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話題のノラ・ジョーンズ、その父親は?(2ページ目)

初主演した映画『マイ・ブルーベリー・ナイツ』が話題を呼んでいるノラ・ジョーンズ。その父親は、あのビートルズにも影響を与えたカリスマミュージシャンだった!?

執筆者:田澤 仁



ビートルズにも多大な影響


1920年インド生まれのラヴィ・シャンカルは、インド古典音楽を学んでいる。しかし、保守的で、閉鎖的ともいわれるインド古典音楽の伝統から脱却しようという強い意志も持っていて、西洋音楽を貪欲に吸収していたといわれている。荘厳、厳粛に演奏するものだったシタールに、激しく派手な奏法を取り入れ、伝統的なインド音楽に革命をもたらしたのが彼なのだ。

ラヴィ・シャンカルは、いわゆる西洋音楽、ポップスやロックのミュージシャンとも積極的に交流を持ったことでも知られている。その中でもっとも有名なのが、ビートルズだ。ビートルズはその後期、インド音楽の影響を強く受けていたが、それはこのラヴィ・シャンカルからの影響なのだ。

ビートルズには様々な伝説があって、ときにはどれが真実かわからないこともある。インド音楽に傾倒した理由についても諸説あるのだが、映画『Help!』の撮影のときにシタールを手にしたジョージ・ハリスンがその魅力に取りつかれたとか、たまたまラヴィ・シャンカルの演奏を見たのがきっかけといった説が有力だ。いずれにせよ、ビートルズの4人はインド音楽に興味を持ち、とくにジョージ・ハリスンはラヴィ・シャンカルに師事しただけでなく、インドの思想や哲学、東洋的な文化にも強く影響を受けたという。

リボルバー
インド色の濃い「トゥモロー・ネバー・ノウズ」収録の『リボルバー』
もちろんサウンドにもその影響が出ている。それが『イエロー・サブマリン』の曲を作り始めたあたりから徐々に表れてきているというファンも多いし、後期のアルバムには、必ずといっていいほどジョージ主導でシタールやインド音楽を取り入れたナンバーが収録されるようになってくる。中でもインド音楽、インドの文化の影響が色濃く表れているのが、『リボルバー』に収録された「トゥモロー・ネバー・ノウズ」だろう。サウンドは“山頂から僧侶が説教している雰囲気”を目指したらしく、冒頭からインド音楽の香りがぷんぷんする音作りになっているし、歌詞はチベット仏教の影響を受けて書かれたものだという。ループやテープの早回しを使った独特のサイケな雰囲気は、ビートルズ後期を象徴するサウンドといってもいいだろう。

『Homage To Mahatma Gandhi』
ラヴィ・シャンカルの熱いシタールが聴ける『Homage To Mahatma Gandhi』
ビートルズにも大きな影響をあたえたラヴィ・シャンカルだが、現在ではインド音楽やシタールの演奏も数多くのCDが発売されていて、気軽に聴くことができるから、興味があればぜひ聴いてみてほしい。オムニバス盤や、『ラヴィ・シャンカルの世界』といったベスト盤的なアルバムもいいし、ラヴィ・シャンカルがガンジーに捧げた曲を収録した『Homage To Mahatma Gandhi』などは、とてつもなく熱いシタールが聴ける。伝統的なインド音楽とラヴィ・シャンカルを聴き比べてみても面白いし、ラヴィ・シャンカルを聴いてからビートルズを再び聴いてみれば、聴き慣れたナンバーにも新たな発見があるかもしれない。



【関連リンク】
ラヴィ・シャンカル公式サイト(英語)
ノラ・ジョーンズ公式サイト(英語)
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