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腰まで泥まみれ~反戦歌特集その2

2回連続でお届けする反戦歌特集の「後編」は、9・11以降の2000年代編から時代を廻る最新盤、そしてこの時期、襟を正して聴きたい鎮魂歌を1曲、御紹介します。

執筆者:常木 晴亮

前回に続いてお届けする反戦歌特集「後編」は、9・11以降の2000年代編から。

環境保護と反戦を同じベクトルで実践
2000年代(9・11以降)編 坂本龍一

Bricolages
坂本龍一 『Bricolages』
『CHASM』のREMIX仕様。ガイド個人的にはオリジナルよりもオススメです。細野晴臣REMIX(M-15)はこの日本盤のみ収録なので要注意
アメリカ同時多発テロ事件(以下9・11)以降の反戦活動を最も大きなスケールで行っている日本人アーティストは、なんと言ってもこの人、坂本龍一でしょう。

坂本龍一は1952年生まれ。高校時代に学生運動に参加していた経歴も持つ人です。

前述のRCサクセション『COVERS』には打診があったにもかかわらず不参加だったので、音楽活動にはそういうメッセージを入れない人なのかと思っていましたが、地雷撲滅をテーマにした 『ZERO LANDMINE』(2001)辺りから、何か機が熟したかのように先陣を切って活動するようになります。

9・11の衝撃から 『非戦』という考えを提示、PSE法反対運動などを経て2006年から青森県六ヶ所村の核燃料再処理工場の危険性を訴えるプロジェクト「STOP ROKKASHO」をスタートさせています。

多くの人に環境問題を考えるきっかけを与えたライフスタイル「LOHAS」の提示や、自らのコンサートで排出されるCO2量の大幅な削減など有言実行で結果を出し、環境保護と反戦を同じベクトルで実践する、その活動のブレの無さはどんなに賞賛しても足りないほどです。

増殖? 効率良い活動は、まさにインターネット的

RESCUE/RYDEEN79/07
HASYMO/Yellow Magic Orchestra 『RESCUE/RYDEEN79/07』
HASYMOとYellow Magic Orchestraの2トップ・シングル。YMOのジャケットもカッコイイので要チェック!
前回の記事で取りあげたアーティストの共通項は「放送禁止」や「発売中止」だったりするのですが、そんなトラブルとは無縁の彼の方法論は、そのあり方の一つとして有効なのではないでしょうか。

インターネットを効果的に使い全世界的に効率よく効果的に活動する様は、カセット・テープの投稿が主だったNHK-FMのデモテープ特集(槇原敬之やTEI TOWAを輩出)から、デジタルに進化したRADIO SAKAMOTO AUDITION(コトリンゴほかを輩出)への移り変わりにだぶってみえます。

普通は活動がアカデミックになっていくにつれ、POPサイドが後退してしまうものですが、現時点で最新のソロ・アルバム 『CHASM』(2004)や、この春の話題だった再結成YMO、そしてその結実であるHASYMOのサウンドからは“キョージュ”のオーラをまだまだ感じることができます。

やらなくなったのは「アホアホブラザー」のようなドメスティックなギャグ活動だけ、なのですから(あれはあれで好きでしたけど……)。

【All About内関連記事】
  • All About テクノポップ 「Stop Rokkasho, Radioactivity」
    テクノポップ・ガイド四方宏明氏による記事(2007)。「Stop Rokkasho」紹介からKraftwerk「Radioactivity」解説への流れはまさに、四方流
【関連リンク】
  • J-WAVE : RADIO SAKAMOTO
    番組終了直後にUPされるアーカイブ、Podcastで聴取地域も越えられる、まさに坂本龍一的なラジオ番組

→次のページ は「腰まで泥まみれ」!
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