戦争は知らない～J-POPガイド的反戦歌特集(3ページ目)

有言実行する姿勢と、継続する力
1990-2000年代編　SOUL FLOWER UNION～中川敬

SOUL FLOWER UNION 『GHOST HITS 95～99』 彼らにとって最も激動の時代であった５年間を１枚のCDに凝縮したBEST盤

U2のBono、Paul Weller、R.E.M.のMichael Stipe……音楽活動と共に政治的な活動や発言を行うROCKミュージシャンは、海外には大勢いるのに何故か日本ではあまり見かけない気がします。「政治家」という言葉から連想されるイメージが日本ではあまりにROCKとかけ離れたもの、だからでしょうか。

日本を代表するROCKバンド SOUL FLOWER UNIONを率いる中川敬（なかがわ たかし）は1966年生まれ。前身であるNEWEST MODEL時代から一貫して「反戦」、「非戦」のメッセージを送り続けている人です。

THE NEWEST MODEL1989年のメジャー・デビュー・シングルにはイギリスの、やはりポリティカルな活動で知られるシンガー・ソングライターBilly Braggのカヴァーが収められており、中川の「Billy Braggを聞こう」といった発言もよくみかけました。

敬愛するミュージシャンにBilly Braggをあげるような人は当時（今も）他にはおらず、私は彼がそこまで言うならと、ためしにレコードを買ってみたりしました。私のように彼を経由して知らないミュージシャンや音楽ジャンルを知った方も多いのではないでしょうか。

V.A. 『PEACE NOT WAR JAPAN』 Peace Not War Japanから生まれたコンピレーション（2006）。平和への願いに意識的なアーティストが12組参加、SOUL FLOWER UNIONは「極東戦線異状なし!?」を提供している

THE NEWEST MODELからNEWEST MODELへ、そしてSOUL FLOWER UNIONへ。最初期こそ無邪気にとり込んでいった雑多な音楽性も、グループの咀嚼力が高まるにつれ背景にある歴史の重みを感じさせるものになっていきます。

9・11アメリカ同時多発テロ事件以降の作品は 『極東戦線異状なし!?』 を筆頭に、これまで以上に直接的にメッセージを発信するようになってきています。

そしてそんな歌詞の内容を気にせずとも、単純にカッコイイ ロケンロー、泣けるバラッド、踊れるダンス・ミュージックとして機能するのがSOUL FLOWER UNIONの音楽。

歌詞に出てくるアルコールが「いいちこ」（『SOUL SURVIVER』（1989）11曲目「SEASON」より）から「泡盛」（『ラヴィエベル～人生は素晴らしい!』（2007） １曲目「ラヴィエベル」より）になったように豊潤さを増し続けているのです。

【関連リンク】

• Peace Not War Japan
  2004年、イギリス Peace Not War と提携してスタートしたボランティア組織。平和と戦争、非暴力による紛争の解決に対する、人々の意識を高めるために活動している

---

【All About内関連リンク／記事】

• All About J-POP 「8月,広島を想う。元ちとせ「死んだ女の子」」 （2006）
  一昨年、昨年と終戦記念日に合わせ期間限定で配信販売された「死んだ女の子」は、21世紀に日本で発表された反戦歌の中で最も優れた作品です。
  
  

  元ちとせ 『ハナダイロ』初回生産限定盤

  2007年は 配信されないようですが 着うた及び着うたフル で8月20日までの期間限定配信、収録アルバム 元ちとせ『ハナダイロ』初回生産限定盤も、まだ容易に入手出来ると思いますので是非聴いてみてほしいです。
  
  また、8月14日（火）19:30からNHK総合でオンエアされる音楽番組「夏うた2007」に坂本龍一と元ちとせが出演するので、もしかしたら演奏されるかも。期待したいところです