古くて新しいジャズを聴かせるトロンボーンの新星
■第4位:tommy『ファイブ・スポット・アフター・ダーク・トミー・イン・ニューヨーク 』トロンボーンはコントロールの難しい楽器で、ここしばらく、有望な新人は現れていませんでしたが、tommyは本作がスウィングジャーナルのゴールドディスクをいきなり受賞するなど、期待が集まっています。
本作をCDプレイヤーに載せ、一曲目「スピシアーナ」をかけてましょう。朗々と、また豪放に、2本のトロンボーンがうなりをあげてテーマを奏で、やがて、ベテラン、ワイクリフ・ゴードンとTommyの間で掛け合いがはじまります。ソニー・ロリンズとジョン・コルトレーンの共演で有名なテナー・マッドネスならぬ、「テナートロンボーン・マッドネス」です。
共演したワイクリフ・ゴードンをして「こんなに吹けるトロンボーンに出会ったのは初めてだ。こんな無名の素晴らしい日本人がいるのを初めて知ったよ。日本のジャズもあなどれないね」と言わしめたTommyのトロンボーン。そのフレージングは、ボリューム感と響きの美しさを兼ね備えたナチュラルトーンで、正統派のブルージーなフレーズを歌わせています。
また、本作ではピアノのジョージ・ケイブルスをはじめ、メンバーそれぞれがキレのあるすばらしい演奏を見せています。歌心と、ジャズのスウィング感の楽しさという、ジャズの伝統が持つ楽しさ、美しさを、今日に蘇らせてくれる一枚です。
3位は日本で活躍中のジャズヴォーカルの新星です