偏執的な練習魔? ジョン・コルトレーン
(3)『A LOVE SUPREME』、(4)『BLUE TRAIN』)でもご紹介してきました。そのコルトレーン、偏執的な練習魔であったことから、それを裏付けるようなさまざまな都市伝説化したエピソードが残っています。
ディジー・ガレスピーバンドのツアー中、同部屋になることが多かったのだが、コルトレーンは四六時中音楽のことばかり考えていて、観光に誘ってもまったくついてこなかった。(1949年当時について、ピアニスト、ジェームズ・フォアマンの証言)
1966年、人気絶頂時のコルトレーンは、インタビューに答えて「この15年間、レジャーはなかった」と答えています。
基本的に、オールオアナッシングの極端な思考の持ち主だったようで、マイルスグループにいた当時、評論家に酷評されると落ち込んでヘロインに手を出し、「音楽を辞めて郵便局員になろう」と真剣に口にしてしまったというエピソードもあります。
中でも有名な「練習魔」エピソードは、コルトレーンの家の前を通ると、四六時中のサックスの音が聞えていた、というもの。ひねくれもののマイルスはこの都市伝説についても「誇張だ」とばっさり否定していますが、ミュージシャン仲間の証言者(下記)が多いことも事実。話8分にしてもすごい話で、少なくとも同業者の間でも極端な練習魔であったことは間違いないようです。
アート・テイラーいわく、家にいってもトレーンは練習ばかりでまったくほったらかしにされ、奥さんのナイーマと話して帰るしかなかったから、ナイーマとすごく仲良くなってしまった。
ベニー・ゴルソンいわく、ナイーマがいないと、ベルを鳴らしてもトレーンは気づかないから家に上がれない。
マイルス・ディヴィスいわく、3ステージ終わって、みんなが酒を飲んでいるときに一人ホテルに帰って、数時間練習していた。
日本ツアーに来たコルトレーンが、楽屋で練習している姿を見て、辛口で知られるジャズギタリスト、高柳昌之氏も感動したと述懐している。
見るものを呆然とさせるほどの練習魔エピソードてんこもりのコルトレーン。どこまでホントかウソか。信じる、信じないはあなた次第です。
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●参考サイト
・「マイルスとモンクの口論の真相」(Nelson's Navigator for Modern Jazz)
・「マイルス・デイビス酒、女、麻薬」(音楽の冗談)
・ジョン・コルトレーン John Coltrane