タイム勘
[たいむかん] 演奏者同士で用いる用語で、伴奏などに頼らず、テンポを感じる能力。タイム勘がよい奏者のアドリヴは聞いているものにとっても非常に心地がよい。対位法
[たいいほう] Counterpoint(英)。複数の旋律を同時に扱う作曲技法のこと。バッハがその代表的な作曲家であり、カノン、フーガなどの様式で17~18世紀に完成を見た。対位法の対極として位置づけられるのが和声法で、こちらは各々の和声には機能があり、時間軸上での和声から和声への結びつきが楽曲を形作るという考え方。こちらは18世紀~19世紀が全盛といわれている。
ジャズ、特にビバップ~モードまでは、和声法、中でも20世紀になってポピュラーミュージックのアナライズ法として発達した機能和声の考え方をその根幹に据えている。モダンジャズ史に残る多くのミュージシャンによる即興演奏の数々は、機能和声が持つ可能性を追求する実験場であったという見方すら可能である。
一方、ジャズにおける対位法は存在感が希薄だが、これはまだ研究が進んでいないだけとも考えられる。パーカーやモンク、エリントンやミンガスの楽曲・演奏における対位法の研究や、対位法を全面に取り入れた新しいジャズの展開など、フロンティアは大きい。
●関連語
和声法
機能和声
ツー・ビート(two beat)
[つーびーと] 2分音符、または2拍子を基本としたリズムのこと。ラグタイムピアノに特徴的なリズムであり、そうした歴史から、ジャズにおいても少し昔のジャズの雰囲気を出す時などに、効果的に用いられる。ツーファイブ(two five)
[つーふぁいぶ] II度→V度(→I度)と進行するコード進行のパターンのこと。キーがCの場合であれば、Dm7→G7というコード進行をさす。ポップミュージック、特に古い時代には大量に登場するコード進行で、ジャズのアドリブでも基本とされるもの。なぜII-V-Iが珍重されるのかを簡単に解説する。
まず、V度(ドミナントセブンス)の不安定さから、I度(トニック)の安定へと解放される、V→Iのコード進行(ドミナントモーション)がある。
そこからさらに、V度(ソシレファ)の和音を、II度(レファラド)+V度(ソシレファ)に分解して並べ直すことによって、サブドミナント(II度・やや緊張)→ドミナント(V度・緊張)→トニック(I度・緩和)というドラマティチズムが生じる。
コードプログレッションの中で、II-V-Iが重要視される理由は、上記のように、多くのコード進行の中でももっとも明解で、ドラマチックな効果が期待できるからだ。
しかし、いかに効果的な演出であっても数多く目にすれば見飽きるのと同様、II-V-Iからかつて聴衆が感じていたようなドラマティズムを感じることは我々にとって難しい。現代のポップミュージックでは、あまりベタなII-V-Iはあまり用いられなくなっているし、ジャズのインプロヴィゼーションにおいても同じ課題がある。
■ジャズ用語集2007 た行トップに戻る