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フリージャズの世界

少しも怖がることはありません。フリージャズも演歌も同じ音楽です。少し表現の仕方が違うだけ。今回はフリージャズの世界を紹介します。

執筆者:佐久間 啓輔

文章: 佐久間 啓輔(All About「ジャズ」旧ガイド)

「フリージャズ」という言葉を聞いて、難色を示される方も少なくはないでしょう。しかし60年代に台頭したフリージャズのエッセンスは、現代のジャズにも広く散りばめられているのです。今回は、その後のジャズに大きく影響を与えたフリージャズについて語っていきたいと思います。


※ジャケット写真がAmazon.comにリンクしています。



フリージャズとは何でしょう?自由に即興するジャズですか?本来の意味としてはそういうことなのでしょう。しかしジャズというのは、もともと自由にアドリブしてもよい音楽だったのではないでしょうか。

ジャズにはルールがあります。といってもこのルールは多数決によって決められたルールであって、そのルールでは「自分を表現できない」と言い出す人間が出てくるのは当然だと思います。自分だけのルールを作ってしまおう!そこで現れたのがフリージャズ。この新しい表現方法は、1960年代、瞬く間にジャズ界に浸透していくのです。

フリーインプロヴァイザー(フリージャズの演奏者)と呼ばれるミュージシャンたちの演奏は、どれもとっつきにくいものです。しかし聴きこむほどに、そのミュージシャンの個性が感じられるようになってきます。それまでのジャズに聴かれるニューオリンズ、スウィング、ビバップなどを基本としたボキャブラリに対して、フリーインプロヴァイザーたちは独自の言葉をはっしてゆくのです。そこには今までのルールはありません、自分だけのルールだけがあるのです。

では、そのフリーインプロヴァイザーたちを紹介していきたいと思います。

 

オーネット・コールマン(サックス・トランペット・ヴィオリン)

フリージャズの神様です。財団法人日本美術協会によって創設された高松宮殿下記念世界文化賞をもらったこともあります。
オーネットの音楽は比較的とっつきやすいと思います。メロディもカワイイし、何をやってるのかよくわからないアドリブに浮遊感を味わうことができる。このメロディセンスは、オーネットのトレードマークともいえるもので、この人の唱えるハーモロディック理論につながるものなのではないかと思います。

1958年に衝撃のデビューをはたしたオーネットは、ジャズ界に革命をもたらしました。若いミュージシャン達はこぞってオーネットのギグに足を運び、即興演奏の可能性を模索するようになるのです。マイルス・デイビスの『ライブ・アット・ザ・プラグドニッケル』に見られる「?」な音楽は、当時マイルスバンドにいたトニー・ウィリアムスやハービー・ハンコックがフリー・ジャズのウィルスに感染してしまった結果だったと後にマイルスが語っています。

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ジョン・コルトレーン(サックス)

ジャズ界に強烈な足跡を残したコルトレーンは、完全燃焼してこの世を去りました。晩年の録音がそれを物語っています。すさまじいエネルギー、スピリチュアルな演奏!生で聴くことができなかったのが残念です。

この人の晩年の演奏が理解できないという方は、コルトレーンが何度となく演奏した名曲『マイ・フェイヴァリット・シングス』を年代順に聴いてみて下さい。美しいメロディを強調した初期の演奏から、徐々にエネルギーを開放してゆく様子を垣間見ることができます。きっと貴方を危険な領域にいざなってくれることでしょう・・・。

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