「ビバップ」とはなんぞや?ジャズの基本のようでもあり究極のようでもあり、古臭いようで新しくもあるビバップ。この「ビバップ」について2回に分けて掘り下げていきたいと思います。1回目はビバップ基礎知識から! ※ジャケット写真がAmazon.comにリンクしています。 ビバップ(Be-Bop)基礎知識 ビバップは1940年代にニューヨークのハーレムで生まれた音楽だと言われています。 仕事がはけた深夜、そんなミュージシャンたちが集まったのが場末のジャズクラブでした。決まったプログラムはなく誰からともなく演奏する、いわゆるジャムセッションが朝まで繰り広げられたのです。演奏に重きを置かれたのがアドリブ。「おお、奴がまたとんでもないことを始めたぞ!」などといった声もあったのでしょうか?場末のクラブは、新しい演奏を模索する実験場となったのでありました。 そして完成されたのがビバップ。一言で言えば「マニアックなジャズ」でした。複雑なコード進行を目まぐるしいスピードで演奏するこのビバップは、ミュージシャンの腕比べでもあり、現代においても日々進化し続けているのであります。
ビバッパー紹介 スウィングの大様がベニー・グッドマンなら、ビバップの大様はアルトサックスのチャーリー・パーカー。「こんなこと出きるか?」と言わんばかりの演奏は現代でもアンビリーバブル!例外にもれず早死にしてしまったこの天才の半生を描いた映画『バード』は是非ご覧下さい。クリント・イーストウッド監督、フォレスト・ウィッテカー主演のこの映画の一番の見所(聴き所?)は、サックスの音が全てパーカーのオリジナルを使っているというところ。どういうことかと言えば、最新技術を使ってパーカーのレコードからパーカーの音だけを抜き出して、今をときめくジャズミュージシャンたちがバックの演奏をかぶせたという力の入れよう。とんでもないパーカーの生き様が描かれています。 トランペットのディジー・ガレスピーもパーカーとならんでビバップの代表的ミュージシャンと言われています。ガレスピーの特徴はトリッキーなリズム。シンプルなんだけど、ひとひねりもふたひねりもあるフレーズが突然とびだしてきたりします。しかしガレスピーの真髄は50年代以降のアフロキューバンジャズ。40年代の代表的演奏はパーカーとの共演に集約されています。本題からはずれてしまいますが、お勧めは『アット・ニューポート』。軽快なようで重々しいリズムの上で、ガレスピーやリー・モーガンの素晴らしい演奏を聴くことができます。 ビバップのピアニスト代表といえばやはりこの人。パーカー同様、アルコールやドラッグにおぼれ早死にしているところが伝説的であります。うなり声をあげてピアノを弾く伝統はこの人からでしょうか?ハービー・ハンコックにその伝統が引き継がれています…。とにかく猛烈な勢いでビバップを演奏する人です。ほとんど間をとらずに演奏するのがビバップの特徴でもあり、バド・パウエルの魅力にもなっていると思います。詳しくはこちらをご覧下さい。 ジャズの帝王マイルス・デイビスも登場させないわけにはいきません。もしマイルスが50年代頭にでも死んでいたらビバップの伝説的ミュージシャンになっていたことでしょう。ビバップ時代の代表作はやはりパーカーとの共演。ミスしながらも必死でくらいついていく若かりしマイルスの様子がお茶目です。
今回はビバップのほんの入口でした。ビバップに初めて触れる方は古臭く感じるかもしれません。しかし知れば知るほど新鮮でインパクトのある演奏と言えるでしょう。 |
文章: 佐久間 啓輔(All About「ジャズ」旧ガイド)
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