3.オール・オブ・ユー
何の変哲も無い普通のスタンダードですが、実はこういった曲でマイルスの本領が発揮されます。ジャズミュージシャンのアドリブというのは、例えばビバップのイディオムを使ったものだったり、自分のフレーズやパターンを使っていくものであるが、マイルスのアドリブというのはまさにその場でリアルタイムに作曲していると言ってようほどメロディアス。この曲でもその魅力をたっぷり感じることができるでしょう。
4.バイ・バイ・ブラックバード
レコードではこの曲がB面になるので、オール・オブ・ユーとかぶることもないのですが…。この曲でもマイルスは切々と歌い上げております。TVコマーシャルでも使われていた演奏なので、ご存知の方も多いと思います。
5.タッズ・デライト
「タッドの喜び」。このタッドとはマイルス縁のピアニストでアレンジャー、タッド・ダメロンのことだと思うが、ダメロンのモダンでクールな雰囲気がうかがえる曲です。だまし絵のようなトリッキーなリズムが印象的な曲です。ここでもチェンバースのベースが全体の躍動感をつくりだしています。
6.ディア・オールド・ストックホルム
スウェーデン民謡らしいのですが、極上のモダンジャズの作品に仕上げられた名曲。このアルバムでは、タイトル曲に次いでの人気ナンバーではないでしょうか。寂しげな雰囲気が日本人の心に語りかけてきます。ところでマイルスのトレードマークでもあるハーマンミュート(弱音器)ですが、マイルスは何故こうも表情が豊かになるのでしょうか?このミュートを使うトランペッターは多いのですが、単調になりがちでマイルスのような音を他で聴くことはできません。
このアルバムは出来たら、ジャズ喫茶でリクエストしてみて下さい。あまりにも定番なので、はばかれる感はあるのですが、高級オーディオで生音と同じ音量で聴かせてもらってください。実はモノラル録音なのですが、その生々しい記録は、まるですぐそこにマイルスがいるのではないかという感動が味わえるでしょう。
関連リンク:マイルス・デイビス
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