DTM・デジタルレコーディング/レコーディング・制作ノウハウ

プロミュージシャンに聞くレコーディングの実際 スケッチからミキシングまで(2ページ目)

プロのミュージシャンは、実際どうやって曲の制作を行い、そこでどのようにコンピュータを活用させているのでしょうか?先日「bird people」というアルバムをリリースしたtomzuin hさんにお話を伺いました。

藤本 健

執筆者:藤本 健

DTM・デジタルレコーディングガイド

HALionやKONTAKTを音源にし、サンプル素材も利用する


--その際、音源はどうしているんですか?
QuickTimeを使うこともHALionを使うこともあります。最近はKONTAKTを使うケースが多いかな。あと、サンプルネタもHDDに入れてあるから、波形の切り張りでリズムを入力することもありますね。

--このスケッチというのはあくまでもスケッチで、後で捨ててしまうものなんですか?
それはケース・バイ・ケースですよ。ピアノロールで入力した部分はともかくとして、サンプルネタはよければバウンスして本番で使うことも多いですよ。

--ちなみにそのサンプルネタってどんなものを使っているんですか?
本当に市販のもの、またHALionに付いているものなんかも使うし、過去の自分の曲のリズムトラックから、キックだけ持ってくるとかね。もっともいわゆるループものは自分の曲にマッチしないので、音を切り出して使っています。

--これでイメージが固まるわけですよね。それからどうするんですか?
このイメージはあくまでも16小節程度のモチーフ。ここから膨らましていくのですが、まずはスタジオのMacへデータを持っていきます。そこから先は、覚えていないほどいろいろなことをやっていますよ。

--たとえば、どんなことなんでしょうか?
アナログシンセがいっぱい
スタジオには多くのアナログシンセがある
そうですね。このスタジオ見ていただけると分かるとおりアナログシンセがいっぱいあるでしょ。これらを鳴らしてみて音を差し替えたりするんですよ。ひとつひとつ別のトラックに入れていくんですね。またマイク録りもよくやりますよ。小さいパーカッション使ったり、ギターを弾いたりね。あ、パーカッションも叩くというよりも振るとか擦るとか……。

アナログシンセを手弾きし、オーディオ録音


--実際トラック数的にはどのくらいになるんですか?
そうですね。多いと30トラックくらいになりますね。もちろん最終的にはミュートしていくんですけど。

--このシンセを録る際、基本はオーディオでの録音ですか?MIDIを使うようなことは?
手で弾けないようなフレーズはシーケンサを使いますよ。SE-1やminimoog、SH-101などで時々やりますね。もちろん、MIDI対応している機材ではないので、KENTONのMID-CVコンバータで電圧へ変換して使っているわけですが。MIDIで残すことにこだわりはないので、手で弾けるものは手で弾いてそのまま録音していますよ。

--これによってほぼ完成ということですか?
いやいや、この段階で半分くらいでしょうか?まあ、ここまでは一人で作業するんですよ。でも、このようにイメージが膨らんできたところで、やはり声が欲しいとか、あの人にこれを弾いてほしいとか、アイディアがいろいろ出てくるんです。それで、実際にレコーディングに来てもらって、そこからオケ的に完成度をあげてミックスしていくんですよ。そうして録りは終了し、その翌日には完成形ができるという感じですね。
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