DTM関連の雑誌の記事やWebなどで情報を見ていると必ずといっていいほど、“VST”というキーワードが登場してきます。これはいったい何なのでしょうか?テクニカル用語について解説するシリーズの3回目の今回は、このVSTについて解説してみたいと思います。
VSTというのは
Virtual Studio Technology
の略で、Cubase SXやNuendoなどを開発するドイツのSteinberg(スタインバーグ)社が打ち出したコンセプトです。直訳すれば「仮想スタジオ技術」ということになりますが、まあ、その名前のとおりで、コンピュータ上でスタジオを実現してしまう技術を意味しています。つまり、コンピュータ1台でレコーディングから編集、またエフェクトやミキシング、シンセサイザの音色作り……とすべてのことを実現してしまうということを意味しています。
このVSTは同社のCubase SXやNUENDOほかさまざまな製品に実装されているわけですが、一般的にVSTといった場合、こうした概念的な技術を意味するのではなく、プラグインの仕組みを意味しています。
プラグインという言葉についてご存知ない方のために簡単に説明しておくと、このプラグインというのはコンピュータのソフトウェアでときどき使われる用語で、「追加するモジュール」を意味しています。つまり、プラグインを利用することで、ソフトウェアにある機能が追加されるというものなのです。
VSTはまさにそのプラグインの技術として広く普及しており、数多くのオーディオレコーディングソフトが対応しています。具体的にあげると
Cubase SX (Steinberg)
Logic (Emagic)
Singer Song Writer (Internet)
Digital Performer (Mark of the Unicorn)
※VST Wrapperを用いる必要がある
ACID (Sonic Foundry)
※VST Instrumentsのみ対応
DigiOnSound (DigiOn)
などなど、ほかにもいろいろなソフトがVSTのプラグインの仕組みに対応しているのです。ちなみにCubase VSTというその名もズバリという名前のソフトは、現在発売されているCubase SXの前バージョンであり、すでに販売終了という扱いになっているものです。