『レ・ミゼラブル』日本版
登場人物のひとりひとりが何かを探し、懸命に生きている姿が胸を打ちます。写真提供/東宝演劇部 |
現在、主演のバルジャンを務めるのは、石井一孝、今井清隆、別所哲也、山口祐一郎の4人。他の役柄もダブル、トリプルでキャスティングされています。脚本、音楽は同じでも演じる人によって、受ける印象が全然変わってくるので、「今度はこの人で観よう!」と、ついつい何度も劇場に通ってしまうのです。役者ごとの差を楽しみ、自分のお気に入りを探すのがまた、楽しいんですよね。
『レ・ミゼラブル』のちょっとしたマメ知識
ここで、『レ・ミゼラブル』を観る上で、知っておくと楽しい(かもしれない)ちょっとしたマメ知識を紹介しましょう。
その1●一人が複数の役柄を務める
登場人物が多く、展開の早い『レ・ミゼラブル』。ジャン・バルジャンとジャベール(バルジャンを追う警官)以外の役者は全員、シーンによっては本来の役と別の役柄で出演しています。これは世界共通で、ちゃんと緻密な香盤表が用意されています。別の役柄を演じわける俳優たちの演技も見ものですよ~。中には1幕で病死、2幕で撃たれて──と、2度死ぬ人も!
その2●本当はもっと長かった!
現在、日本版の上演時間は2幕で3時間15分(休憩込み)。長い? 夢中で観ていると3時間なんてあっという間なんですけどね。でも、2003年以前はもっと長かったんです。遠くから足を運んでいて電車の時間や次の日のことが気になる人も多く、短縮に踏み切ったというわけです。初演からのファンには、「元に戻してほしい」という声も多いのですが(私もその一人)、ま、たしかに、今の3時間半だって、十分長いですものね。
その3●観るべきところがたくさん
中央で歌っている人に注目しているだけで十分楽しめますが、先にもふれましたが、この作品は群像劇。そのシーンのメインのキャストが歌い、演じている舞台のすみで、別のドラマが繰り広げられていることがしばしば。わかりやすいところで言うと、学生運動のリーダーが真剣に語っている横で飲んだくれている学生がいたり、強盗団の1人が、仲間の娘にちょっかいを出していたり……。何度か観ていると、つい他のところに目が行ってしまうんです。毎回、別の発見があるのも楽しいところ。
とはいえ、初めての観劇だったら、普通に芝居を追っていくことをおすすめしておきます。
世界中で再演が繰り返されているミュージカル『レ・ミゼラブル』。何度も公演を繰り返しながら、今回もチケットはほぼ完売です(当日券の販売あり。(問い合わせは、東宝テレザーブ(03-3201-7777)まで)。
私も、初めて観たときと、現在では感情移入する登場人物も、好きなナンバーも変わってきました。自分の年齢や精神状態によって、まったく感じ方が変わるという奥深さも、時代を超えて愛され続けている所以でしょう。
今のあなたは、この作品を観て、どんな風に感じるでしょうか?
● 関連サイト
東宝公式ホームページ