早替り、本水、宙乗り・・・猿之助歌舞伎カラー満載!
2008年にスーパー歌舞伎『ヤマトタケル』4ヶ月ロングランを果たした澤瀉屋一門が、この3月、新橋演舞場で『獨道中五十三驛』に挑む。
平成元年夏の歌舞伎座で、市川猿之助が早替りを含めて全部で十四役をつとめたあの舞台が蘇ってくる。スピーディで美しい早替りに目を奪われたのを鮮やかに覚えている。
次から次へと外見が替わっていくのに、それぞれの役の根っこの部分がちゃんと伝わってくるのが芸の力だったのだろう。その面白さに息つく暇がないとはこういうことなのだと心が躍った。
また、この狂言では、「亀山の敵討」「恋女房染分手綱」「お半長右衛門」「弁天小僧」など、歌舞伎でおなじみのいろいろな”世界”が、パッチワークのように役者の体を通して現れる。
それが敵討ちというメインストーリーの進む中で”ないまぜ”となって大きな見せ場を作る。
この独特の舞台展開こそ、歌舞伎ならでは!
序幕の岡崎の化け猫の場面では、ホラー感たっぷり、また十二単を着た化け猫の宙乗りも楽しめそうだ。
さらに二幕目では箱根の大滝の場面で善悪の登場人物が揃い、大立回り。何トンもの本水が滝となって客席にまでそのしぶきが及ぶかも?
そして大詰では、今回市川右近がその十二役早替りに挑戦。歌舞伎ならではの早替りの技法を存分に味わえそうだ。
他にも市川段治郎初め一門が、善悪入り乱れて東海道を都から江戸へと逆上りする道中が見もの。
その製作発表の模様をお伝えする。