逆櫓とは?
肝心のこの「逆櫓」とは何か?
船の舳先と艫の両方に船頭を立たせ、いざというときどちらにも船を進めることができるようにするものという。
『平家物語』では、源義経と、梶原景時がこの先方を用いるかどうかで口論する。
「戦とは進むべきものだ」という義経に、「いろいろなケースを考えてどちらにも勧める逆櫓でいくべきだ」という梶原。念には念を入れる梶原を、樋口はここでも「念者(ねんしゃ)」と表現している。慎重、だが裏を返せば小心。樋口の、そんな梶原への評価もほのみえる。
だが、この樋口を倒した義経も、そして義経について讒言を繰返した梶原も、時代に追われるようにこの後滅びていくのだ。
子役を使った「遠見(とおみ)」の舞台が面白い。子役の樋口が、船の上で、これまた子役による船頭に逆櫓の方法を教える。
クライマックスの立ち回りがスゴい。樋口の、血糊のついた顔にざんばらになった髪が迫力満点だ。最後は船の形の立ち回りになるので注目。