第九弾渋谷・コクーン歌舞伎、そしてヨーロッパ公演
演出はコクーン歌舞伎の第一弾から中村勘三郎とコンビを組む、串田和美さん。
串田
「シアターコクーンで歌舞伎という企画が持ち上がった時に、こんぴら歌舞伎の金丸座まで勘九郎さんに会いに行ったことを思い出します。
第一回目はオブザーバーとして、そして僕の初めての歌舞伎演出はシアターコクーンのこの『夏祭』だった。その後大阪で2回やって、NY、そして今回ベルリンと、ルーマニアのシビウという人口20万人の、小さいけれど芝居が盛んな町で公演することになりました。
その後6月に東京のコクーンへ戻ってきます。そしてその後、松本市でもやるという予定です。
芝居って、いろいろな都市で公演して、その町のリズムや人々の中で何かを吸収して進化していくものなんですね。だからNY公演のときも、日々芝居がどんどんテンポよくなっていくんですよ。
芝居は人の間で呼吸して生きている。役者も日々変わっていく。
それがコクーン歌舞伎の一番大事なところ。止まっているものではなくて息づいているということなんです。
ルーマニアのシビウでは、エキストラに俳優学校高校生が現地で参加しますよ。
彼らはDVDで僕らの『夏祭』を見てくれた。そして、
「貧しい若者たちが爆発する話だ」と話したら、
「ぼくら貧しいことなら一番良く知ってるから」って言うんです。
僕はそのとき、言葉がなかったなあ。」