本家本元、成田屋を前に、通し稽古
前回ご案内したとおり、2007年第13回稚魚の会・歌舞伎会の演目の一つ、『勧進帳』の稽古風景をご紹介します。
いやいやいや、なんたって『勧進帳』。歌舞伎十八番。成田屋パリ・オペラ座公演の演目にもなった弁慶と義経の、多くの日本人おなじみの物語なのだ。この稚魚の会で『勧進帳』を上演するのは今回が初めて。女形の役がほとんどないため、なかなか実現が難しかったそうだ。
武蔵坊弁慶とくれば歌舞伎の立役なら一度はやってみたいという大役中の大役。富樫左衛門に源義経、四天王、番卒、太刀持ち、そして舞台に欠かせない後見を果たす役者たちが集まり、本家本元の市川團十郎さんを前に、弁慶と富樫と義経は一部衣裳も着けて、通し稽古がスタートした。
広い稽古場に緊張感が漂う。團十郎さんは真剣な面持ちでときどきなにやらペンを走らせている(あ、左利きだ!)。團十郎さんが何かメモったということは、後でダメが必ず出る、ということだ。いや、今演じている役者達はそんなことに気がつく余裕さえないだろう。
市川團十郎さんの前で通し稽古 |