歌舞伎/歌舞伎関連情報

五月歌舞伎座團菊祭『め組の喧嘩』その2(2ページ目)

夜の部、おしまいの演目が『め組の喧嘩』。相撲取達と鳶達のちょっとしたトラブルがそれぞれの子分たちや家族を巻き込んでの大喧嘩に。

執筆者:五十川 晶子


見どころその1
 火事と喧嘩は江戸の華というが、江戸の風俗を100%楽しめるにぎやかな一幕だ。大男で立派な相撲取りたちと、小柄でイキの良い鳶たちという組み合わせにワクワクする。
 鳶頭の辰五郎はくり返し彼らの喧嘩を収める。だがその分、腹に貯まるものもあっただろう。「八ツ山下のだんまり」ではそんな辰五郎の様子が垣間見える。そしてついに対決を決意する。
 だが義理ある仲の喜三郎に喧嘩を止められてしまった。逆に女房からは「だらしない!」となじられるのだから、さすが鳶の妻、恐るべし。
そしてついに辰五郎は立ち上がる。女房が切り火をし、さっきまでの悩む辰五郎から、すっきりと生れ変わったような顔付で仲間の下へ駆けつける。この細やかな気持ちの変化をお見逃し無く。
 なんといっても楽しいのは大立ち回り。鳶たちが花道や舞台にずらりと並ぶと壮観で口がポカンと開いてしまう。江戸の町を相撲取りと鳶たちが大暴れ。屋根の上での立ち回りや宙返りなど、ワクワクする大詰だ。

見どころその2
「だんまり」
何人かの人物が、暗闇の中で黙ったまま動く場面が様式化したものだ。お互いに相手が見えないので、お囃子に乗ってゆったりと相手を探るように動く。通常この場の出来事がその後の展開の発端となるから要注目だ。

五月は海老蔵、菊之助の『お富与三郎』も。
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