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国立劇場で元禄忠臣蔵3ヶ月通し上演。1(3ページ目)

国立劇場が開場40周年を記念して10~12月の3ヶ月間、『元禄忠臣蔵』を全篇通し上演する。10月は中村吉右衛門、11月は坂田藤十郎、12月は松本幸四郎と、毎月、大石内蔵助を勤める役者が替わるのが観どころ。

執筆者:五十川 晶子

●10月の内蔵助は中村吉右衛門。

大石内蔵助のトップバッターは中村吉右衛門。
「(真山)美保先生はいつも役者を勇気づけてくれる演出家だった。この公演のトップバッターをさせていただく。イチロー選手ならぬタツジロー(本名・波野辰次郎)ですが、どれだけヒットを出せるか精一杯やりたい」と意欲を見せた。

また、
「私が(大石内蔵助)つとめるのは起承転結の起承の部分。真山青果先生の時代の文人が、歌舞伎に何を期待していたか、当時の役者に何を求めていたのか、3ヶ月間観て頂いたらよくおわかりいただけるのではないか。また、将来の歌舞伎を考える上でも意味あることになるのでは」と、今回の通し上演の意義を語った。

さらに
「『仮名手本忠臣蔵』といえば主君のための復讐という部分が重かったように思う。真山先生のこの歴史劇では、一人一人の役に人間的な深みが加わって、いろいろな人間の人生模様がちりばめられていると思う。忠臣蔵という題材をより深くしたのが真山作品の魅力」

この作品は吉右衛門の実父である八代目松本幸四郎(松本白鸚)がしばしば勤めてきた役であることについて、

「実父は高島屋(二代目左團次)よりちょっと後の役者だが、実は高島屋に似通ったところがあると思う。高島屋は器用な役者ではないし、踊りもあまりうまくない。でも風格があり台詞回しが朗々としていたところなど、実父に通じるところがある。実際に高島屋の芝居を好むことが多かったと思う。彼の心意気を継いで発展させていったのが父かもしれない。そのため、内蔵助というとどうしても私の中では実父をイメージしてしまう。今回の上演一番を喜んでいるのも父かもしれない」
と、白鸚の内蔵助に思いを馳せた。


「内蔵助に実父のイメージが重なる」と吉右衛門。


11月公演についてはに続く。
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