11月　新橋演舞場『児雷也』製作発表　１(4ページ目)

菊五郎劇団による通し狂言や復活狂言は、現代的な趣向もうまく取り入れながら、また今回のようにスペクタクル効果も満載でありつつも、どこか歌舞伎味や、日本の芸能に根ざしている土俗的な匂いが底を流れているように思う。そこが魅力だ。
歌舞伎の芝居の様式や演技の「引き出し」を上手くセレクトしてあてはめていっているのもその理由の一つなのかもしれない。
ただその際、復活の通し狂言では、珍しい場面などのいいとこ取りになる傾向がどうしてもある。でもこの作品では太いストーリーがしっかりと貫かれている。
その分、歌舞伎を見慣れない人でも入りやすく、見慣れた人も楽しめる内容となっているようだ。
この作品、ひょっとしたら古典として上演を重ねていくことになるかもしれない。

（その２では、その製作発表の模様を伝える）