児雷也って何だ?
『児雷也』というのは実は江戸時代に大流行した大長編の草双紙(コミック入り読み物とでもいいましょうか)の主人公だ。この一大娯楽作品を、河竹黙阿弥が同名の長い芝居に仕立てた。ガマの妖術を使う児雷也、ヘビの妖術を使う大蛇(おろち)丸、そしてナメクジの妖術使いの綱手という三人が繰り広げる「三すくみ」で知られる。ちなみに、ガマはヘビに弱く、ヘビはナメクジに弱いというのが「三すくみ」の由来とか。
近年では昭和50年に国立劇場で通し狂言として復活上演され、尾上菊五郎がタイトルロール児雷也をつとめた。これが大好評となり、名古屋、大阪でも再演された伝説の舞台である。
今回、尾上菊之助の児雷也、尾上松緑の大蛇丸、市川亀治郎の綱手とういフレッシュな配役と、原作をさらにすっきりさせ分かりやすくした脚本で生まれ変わった。
2004年4月に名古屋・御園座で初演、2005年3月京都南座で再演を果たし、ついにこの秋、東京は新橋演舞場での上演だ。
実は筆者、この東京公演を待ちに待っていた。この春「秋に演舞場で上演」と知って、ずっと楽しみに待っていたのだった。