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歌舞伎って何? 『研辰の討たれ』2(3ページ目)

歌舞伎ファン女・Kと、小劇場フリーク男・Sが再演『研辰の討たれ』に再集合。初演のときには興奮しまくって見逃していた魅力を再発見。

執筆者:五十川 晶子

●歌舞伎役者って何なんだ?

S あのスピード感ある大量の台詞の応酬や、異様に素早い動き、それらにくるくる変わる表情がついてまわるのを見ていると、ちょっと似た匂いがあるよね、中村勘三郎と野田秀樹。
だけどその上に、現代と、歌舞伎の世界とのいろんなモードを瞬時に使い分ける腕と身体性に、改めて勘三郎という名前と歴史を背負ったあの役者だからこそやれる芝居なんだ!と感じたね。
それに、あの作品は「歌舞伎って、こんな構成要素からできてるけど、バラしてみたらこれは歌舞伎なの?違う?それじゃあ歌舞伎って何なのよ」っていうメッセージのある芝居でしょ。
K 長いメッセージだけど。
S だから、それを歌舞伎役者自身がそのメッセージを、歌舞伎座に来ている客に向かって見せているという構図でないと、意味ないわけよ。現代劇の役者じゃなくて、歌舞伎役者が自己ツッコミした作品でもあるわけよ。
K ・・・ううむ。うがちすぎかも。
ただね、「これは歌舞伎じゃないぞ」という声が間違いなく上がるだろうってことは、初演当時の勘九郎さんも野田さんも推測してたわけで、だから「じゃあ、歌舞伎って何なのよ」って自分たちから先に言い出した作品なのかもね。
勘三郎の、コクーン歌舞伎やら平成中村座やらの、歌舞伎の新しい可能性に挑戦する姿を見ていると、「歌舞伎って何?」というテーマの歌舞伎作品を、あえて襲名披露の演目に選んだことの意味の重さを感じましたね。
S ・・・だろ。ま、そういうことなんだよ。
K ・・・(なんかムカつく。)

2003年『野田版 研辰の討たれ』初演時の制作発表記事はココ
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