歌舞伎/歌舞伎関連情報

メタ歌舞伎な 『研辰の討たれ』再演 1(3ページ目)

元小劇場フリーク対歌舞伎ファンが、今回の『研辰』について熱い議論を戦わせる!? 以前、『野田版 鼠小僧』の際にも登場したあの二人がまたまた帰ってきた!(って誰も待ってないけど)。

執筆者:五十川 晶子


●歌舞伎とは何か?という芝居?

K いきなり白いスクリーンが前面に降りて、裏ではどうやら赤穂浪士らしい人々が立ち回りという様子を影絵で描いたでしょ。歌舞伎って普通は照明をあまり意識しないで観てるじゃない。顔や衣裳や装置に影が出ないように、客席まで含めてどこから観ても明るい。あの明るさは現代の歌舞伎の象徴のようなところがあるくらい。それが野田歌舞伎では「影」をとことん使う。
S 野田秀樹の芝居を観ると、いつも装置がイイ感じだなあと思うんだよね。特に舞台装置は高さをすごく強調するものが多い。ケラ(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)の芝居の台詞じゃないけど、「(野田作品は)主人公が高いところに上って良い事を言う」のに、天地を強調した装置は効果的だった。今回も道場の壁をデフォルメしたものとか、宿屋ののれんをデフォルメしたものとか、縦のラインを強調したものが多かったね。
K 舞台に開けられている穴というか、小さなセリは開いたままで使われていたのも新鮮。普通は開いたままにはしておかないと思う。
S 廻り舞台にぐるりと沿って坂道があったけど。
K 道行をあらわすのに、花道や舞台の横の長さじゃなくて、廻り舞台にくねくねと道を造ってそこを歩かせて表現してたわけだ。歌舞伎って、江戸時代のいろーんな風俗とか商売している人の姿を描いた作品や場面が多いんだよね。「それが見せたかっただけかい?」って思うくらい。あのと九市郎と才次郎(市川染五郎と中村勘太郎)が、父の敵・守山辰次(中村勘三郎)を追う道中に、獅子舞やら力士やら、いろーんな風俗が続々と現れるでしょ。あれもメタ歌舞伎って気がする。

襲名披露興行の歌舞伎座前


そのへ続く。
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