歌舞伎/歌舞伎関連情報

『本朝廿四孝』女形の大役に挑む 時蔵「動かないから難しい」(4ページ目)

毎年三月に上演される国立劇場の花形若手公演。今年は義太夫狂言の傑作『本朝廿四孝』だ。その中の八重垣姫役に挑む中村時蔵さんに、その「大変さ」と「面白さ」についてうかがった。

執筆者:五十川 晶子

●良い匂い漂い、ますますドラマの世界へ入り込む。

今回の『廿四孝』、もう一つの楽しみは「嗅覚」。時蔵さん扮する八重垣姫は勝頼の絵像に向かって香を焚く。客席までほんのりといい香りが漂う。その香とともに、八重垣姫のまだ見ぬ勝頼への恋慕の情の深さが伝わってくる。
お香はもちろん本物を用いる。
「実際に舞台で焚くのは、5mm四方くらいの小さな香木を一枚くらいです。白檀とか伽羅とか、自分で探して買っておきます」

舞台で香や線香を実際に焚く歌舞伎作品は、『仮名手本忠臣蔵』の「判官切腹」の場や、『菅原伝授手習鑑』の「寺子屋」の終盤「いろは送り」の場面などいくつかある。嗅覚を刺激されると舞台の印象も一層強くなり、香りで場内が一体となるような不思議な感覚にも襲われる。


●好評だった社会人向け企画。

さて今回は特別に、公演期間中8日と15日は社会人向けプログラムになっており、19時開演で、解説が付く。この社会人向けプログラムは、昨年11月松本幸四郎主演の『勧進帳』で初めて試みられた企画で、実際に好評裏に閉幕したという。

「(廿四孝は)勧進帳のようなポピュラーな演目ではないけれど、義太夫狂言ならではの舞台や衣裳の豪華さなど、観どころはたくさんあります。最初から何かを”理解”しようとせずに、気に入ったところとか、自分にひっかかってきた部分を大事にしてほしいですね。音楽でもいいし、立ち回りでもいい。そしてまた別の役者で観てみると、また違った関心を持つ・・・。歌舞伎は江戸時代からそうやって現代まで続いてきているんですよ」


中村時蔵さんに関する過去の記事はココ
サイトはココから。

二月歌舞伎座は明治以降に出来た新歌舞伎『番町皿屋敷』お菊を勤める。「以前からずっと悩んでいる、少々病んでいる女だと思ってやっています」。(楽屋の鏡台の前にヘチマコロンとベビーオイル発見!)
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