「現代劇やミュージカルなどに比べ、とにかく動きや展開がゆっくりで辛い」「セリフもゆっくりで聞いているうちに寝てしまう」・・・確かにそうです、はい。
セリフはときに音楽に乗って独特の言い回しになったり、長々と状況説明が入ったり。ドラマの展開もそりゃテレビドラマとか映画とかの映像や、現代劇のスピードと同じというわけにはいかない。
一つに、歌舞伎は「劇」そのものとして楽しむ以外に、「芸」を楽しむものでもあるからだ。女形のしなやかな身体の動き、見得を切った荒事の役のデフォルメされた動き、立ち回りの独特のゆったりした形・・・。一つ一つが役者の鍛錬の賜物でもある。まるで動く錦絵を眺めるように、その構図をじっくり味わうのも歌舞伎の楽しみなのだ。
かと思うと、スピーディーな局面も少なくない。集団による立ち回りや、生世話物とよばれる演目(江戸時代もかなり後期の作品など)や、舞踊の演目、あるいは衣裳を何度も早替りしてみせる場面など、実は思ったよりもテンポは起伏に富んでいるはず。
また、市川猿之助でおなじみのスーパー歌舞伎なら、逆にすごくスピーディー。音楽も照明も衣裳も舞台装置も、何もかもかなりスペクタクル一杯で、従来の歌舞伎のイメージも変わるかも!
紅白の繭玉が場内を飾る。 |