歌舞伎/歌舞伎関連情報

「成田屋!」「音羽屋!」 声がかかると一層盛り上がる!(3ページ目)

「成田屋!」「音羽屋!」と、歌舞伎を初めて観る人が必ず驚くのは大向こうと呼ばれる人々の掛け声のスゴさ。登場したかしないかの絶妙なタイミングで舞台を一層盛り上げります。

執筆者:五十川 晶子

●大向こうと呼ばれる人々。
ご存知のとおり、掛け声をかけている人の中には通称「大向こう」と呼ばれるグループがあり、現在は以下の3つがあります。
寿会 弥生会 声友会
グループのメンバーが目をつけた候補者を長期間観察して、勧誘するということです。
彼らの掛け声は結構特徴があり、「おとわや」→「とわや!」などのように、頭の語がほとんど聴こえないことが多く感じられます。声も少ししゃがれたような、そして伸びのある特徴のある声が多いようです。あるいは長年かけていると、そういう声質になるのでしょうか。

今年の夏ある劇場の幕間で、白髪の年配の男性にしては派手なジャケットを召した方が忙しそうにセカンドバッグを抱えて携帯に向かって話しているのが聴こえました。
「ええ、今○○(劇場名)ですよ。これから○○(別の劇場名)です。今月は忙しいよ」という会話が聞こえてきました。最初は「?」と思ったのですが、おそらく大向こうさんだったのでしょう。

平成中村座はふだんよりもっとカジュアルな屋号も。


もちろん大向こうでなければ声を掛けてはいけないわけではありません。かつて歌舞伎座三階で観ていたとき、近くに中学生くらいの男子がお婆様らしき方と観劇してました。かなり芝居に慣れている感じで、演目名「新口村」をスラッと「にのくちむら」と読んでいたので、「ほお!」と感心しているとびっくり。幕がチャリーンと開いて、彼は「○○屋!」と声を掛けました。三階からは出端は見えません。いやー、たいしたものです。歌舞伎はお婆様仕込なのでしょうか。彼もきっと今はもう立派な大人でしょうが、どこで何をしているのかなあ。

今度歌舞伎を観る機会がありましたら、ぜひ掛け声のかかり方にも注目(注耳)してみてくださいね。
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