歌舞伎/歌舞伎関連情報

「成田屋!」「音羽屋!」 声がかかると一層盛り上がる!

「成田屋!」「音羽屋!」と、歌舞伎を初めて観る人が必ず驚くのは大向こうと呼ばれる人々の掛け声のスゴさ。登場したかしないかの絶妙なタイミングで舞台を一層盛り上げります。

執筆者:五十川 晶子

屋号は役者の看板

チャリーンと揚幕の開く音がしたかと思うと、三階あたりの客席の方から「成田屋!」とか、「待ってました!」とか「二代目!」なんてのが聞こえてきます。初めて観る方は、「あー、歌舞伎を観てるんだなあ!」と一層雰囲気に浸れる瞬間ですよね。

掛け声には、「○○屋」とか「○代目」というものの他にも「日本一」とか「ご両人」とか、ときには「若成田」(市川新之助)、「豆天王」(中村富十郎の息子・大ちゃん)、「たっぷりと」「神谷町」(中村芝翫 ほか)なんてのもあります。さらに『お祭り』という踊りの演目では「待ってました!」と声がかかって役者が「待っていたとはありがてえ」と答えます。近いところでは十五代目仁左衛門が病気回復後最初の舞台でこれがかかったことを思い出します。

襲名披露口上では屋号が嵐のように飛び交う!



●「ご立派!」なんてのも。
また、「お父さんそっくり!」とか、「ご立派!」なんていう声も聞いた記憶がありますが、最近そういう、少しくだけた感じのものはあまり聞かれなくなりました。大向こうさんも世代交代しているのでしょうか。(あるいは単に「そっくり」じゃないから、なのでしょうか。)

さておき。それぞれ場面のいいタイミングでスカッと決まると、観ているほうも気持ちよく、おそらく舞台で芝居している側も気持ちよくなったりするのでしょう。もちろん、下手な掛け声では役者も大変ですが。しかしかつては「大根!」などという掛け声もあったとか。現在ではまず聴こえてこない掛け声の一つです。

たまに女性が掛けているのを聞いたりしますが、男性の声がほとんど。「素人は黙っていた方がよさそう」なムードであることは確かですが、誰がどのように掛けなくてはならないという規則があるわけではなく、原則として誰が掛けてもいいのです。もちろんマナーを守った上で。
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