「新選組！」の勘太郎クンと獅童クン
ＮＨＫ大河ドラマ、観てますか？ 視聴率が余り芳しくないという評判もありますが筆者は毎週必ず観ています。面白いです。好きです、三谷版新選組。いよいよ新選組も本格的な活動の時代に入ります。近藤勇の香取慎吾クンも、月代が伸び、なんだかそれらしい雰囲気になってきました。
中でも楽しみなのは、中村勘太郎 クン演じる藤堂平助と、中村獅童 クンの滝本捨助。これからあの二人はどうなるのでしょう？
●額に傷。そして新選組の別グループに。勘太郎の藤堂平助。
新選組 ファン層というのは実に底辺が広いらしく、先日も江戸東京博物館の「新選組！展」には、老若男女大勢が詰め掛けたようです。新選組グッズにむらがる高校生くらいの女子チームがいるかと思えば、再現風ビデオ上映の前には高齢の夫婦連れが群がり・・・。これまでにも多くの新選組のドラマが作られて来ましたが、大河ドラマでは初めてということ。新選組に少しでも所縁のある地域は、このときとばかり各種のイベントを催しかなり盛り上がっているようです。
筆者も何を隠そう、中学生のころ司馬遼太郎の『燃えよ剣』と『新選組血風録』を読んで以来のファンです。新選組をネタに、マンガも書きまくっていましたね。ヤオイ系ではありませんでしたが、勝手に外伝作って。
京都壬生寺周辺はもちろんのこと、函館五稜郭まで行きましたので、結構ミーハーなファンでもありました。中でも土方贔屓。過去に、栗塚旭（さすがにこの人のドラマはリアルタイムでは観ていませんが）、古谷一行、長塚京三など、いろいろな役者の土方をテレビでは見てきましたが、今回の山本耕史さん、イイですねー。何より、残されている土方の写真にそっくり！
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| 左が近藤勇。右が土方歳三 |
知性派、藤堂平助（勘太郎）の運命
とまあ、前置きが長くなりました。
三谷幸喜さんと縁のある小劇場系の役者が大勢出ていますが、歌舞伎役者も出ています。そう、中村勘太郎と中村獅童。獅童のほうは、昨年『ＨＲ』で三谷作品に出演しており、鷲尾君という強烈なキャラを覚えている方も多いでしょう。
勘太郎演じるのは、新選組の面々がまだ江戸にいたころからつきあいのあった藤堂平助。名門といわれた北辰一刀流の道場から参加した男です。後に新選組に入隊する伊東甲子太郎もこの道場の藤堂の先輩。津藩主・藤堂和泉守の落胤という説もあります。同じ門下の山南敬介とも親しかったとも言われ、なんとなく新選組の中でも「知性派」（？）といったニオイがしますね。
新選組といえば池田屋事件 。この事件で藤堂は眉間を斬られてしまいます。首より上の傷というのは結構血が出るもので、かなり深手のようで、実は軽症で済んだようですが、このころより藤堂は次第に新選組のあり方に疑問を持ち始めたのでは、とも言われます。
藤堂の運命を分けたのはやはり伊東甲子太郎が入隊してきたときでしょう。伊東は名門北辰一刀流の出身ですから、同じ江戸でも無名の道場・試衛館の人間が牛耳る新選組幹部の下にそのまま納まるわけがない。御陵衛士として後に新選組と袂を分かちます。藤堂はその分派した伊東と行動を共にしたため、結局京都は油小路で伊東らとともに斬られます。
近藤の命を受けた沖田総司が斬りあいの中、何度も藤堂を逃がそうとするも、外の隊士にあえなく斬られてしまいます。享年24歳。
藤堂の葛藤はどこに？
勘太郎の藤堂はとっても誠実で実直。友達の沖田を心配したりする好青年。で、腕も立つ。近藤に相当心酔していると見えるのに、なぜ袂を分かたねばならなかったのか。もちろん甲子太郎と近藤の二人の間に立っての葛藤もあるのでしょう。新選組設立当初から活躍し、副長助勤としてある時期京の街を震え上がらせた藤堂。
心のどこかにこの組織の矛盾や限界を感じ取っていたのか、あるいは最初の思惑が少しずつずれてきたのでしょうか。今後そのあたりがこの藤堂については、見どころになっていくのでしょう。新選組の隊士の中でも、かなりドラマチックな生き方を迫られた役柄といえます。
歌舞伎の舞台はもちろん、平成中村座やコクーン歌舞伎など、非常に目覚しい勢いで伸び盛りの勘太郎。どんな藤堂を浮かび上がらせてくれるのでしょうか。楽しみです。
