歌舞伎/歌舞伎関連情報

仕込みから本番まで休みなし 狂言作者の仕事とは?(4ページ目)

近松に南北、黙阿弥……。狂言作者といえばこれらの名が浮かぶが、もちろん現在の歌舞伎でも舞台を支える重要な役割を担っている。狂言作者の竹柴源一さんにインタビューした。

執筆者:五十川 晶子

「舞台を進行させる」
●さてもう一つの狂言作者の大きな仕事が本番の舞台進行だ。西洋演劇の舞台監督のような仕事もしなければならない。

柝で進行していくのはご存知だろう。ブザーの代わりに柝で、楽屋や客席に芝居の始まりと終わりと合図する。

また初日から3日までは、プロンプターとして舞台で役者に台詞をつけることがある。初日が開き1週間くらいすると、また次の月の仕込みの仕事が始まる。歌舞伎座のような大舞台の場合は、3~4人の狂言作者が持ち場の演目を持っており、仕込みと本番とをうまくこなしていくわけである。

竹柴源一さんは昭和23年生まれで、大阪工業大学で建築を専攻。在学中、学生演劇に夢中になった竹柴さんは、卒業後青山杉作記念俳優養成所の演出部に入りドイツ演劇に携わる。その後フリーの舞台監督として活躍、 57年に松竹の狂言作者となる。舞台創造研究所の所長としてで小芝居の復活のための公演活動にも余念がない。

「演出は感性が大事でしょう。舞台監督は実際に物を造って行く、具体化する仕事だと思うんですね。建築専攻ということもあり、そういう仕事が僕は好きでした。

亡くなった尾上松緑さんが、シェイクスピアの『オセロ』などをやっていた頃、ちょうど舞台監督としてお付き合いがありましたが、歌舞伎の舞台監督としてやってみろとおっしゃってくださって。それから改めて歌舞伎をじっくり見て、改めて歌舞伎のスゴサを実感したんですね。僕らが十数年やってきたつもりだったことを、ずっと昔からやってきていた。

でも実際自分でやってみようとすると、小道具一つ作るにも分からないことだらけなんですよ。職人の世界は見て真似て盗まないといけない。

だから、プロの職人を講師として勉強会を開いて教えてもらうことにしたんです。これが今の舞台創造研究所の前身なんです」(竹柴さん)
【編集部おすすめの購入サイト】
Amazonで歌舞伎関連の商品をチェック!楽天市場で歌舞伎関連の商品をチェック!
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます