弾正(だんじょう):「よっ、粂寺屋」
他に妖しい魅力の弁天屋菊之助、助六などがいる。(写真参考)
この奇天烈な掛け声といい、キャラクターの衣装や隈取といい、本来の歌舞伎の役柄とはちょっと(かなり?)違う。分かりやすくデフォルメされているし、登場のしかたや背景となる舞台の設定ももちろん異なる。
また黒衣もキャラクターとして登場し役者と対等に戦う。白衣、灰衣もいるし、勝てば彼等もなぜか見得を切る。逆に助六だってこてんぱんにやられれば、おひねりが飛ぶ中、ノックダウンとなる。
『連獅子』の右近の翻す毛は非常にリアルで、飛び蹴りが決まれば美しく輝いてふわりとなびく(ここなどもXboxならではの高機能を駆使して追求したリアリティなのだそうだ)。菊之助はなぜか晒しを胸に巻いているし青い口紅だ。
つまり、舞台ではまずお目にかかれない、役柄とアクションの組み合わせがなんともオカシイのだ。むろん演目も役柄も衣装も隈取も小道具も、実際と同じであるわけはなく、あくまでもゲームなのだが、それはそれで、「助六のやっつけられた姿」というのは笑えてしまう。役者絵を彷彿とさせるキャラクターもいて、「あ、江戸歌舞伎の舞台はちょっとこんな感じ?」なんて心踊る瞬間も。
広報担当の窪田光良さんによれば、開発担当者は都立図書館で歌舞伎の文献や書籍・役者絵に徹底的にあたり、また舞台はもちろん、伝統文化放送(CS)などで研究し、キャラクターを選別したという。また実際の見得などの動きは、人間の動きを基に情報を入力した部分もあるそうだ。
「強いだけでなく、カッコ良いアクションで人気をどれだけ取ったか、おひねりをどれくらいもらえたかが大事。京に早く着くことを目差すわけです。京ではまた強い相手が待っているんですが」(広報・窪田さん)
上方歌舞伎に殴り込みをかけた江戸歌舞伎の役者、といったところだろうか。
キャラクターはあくまでもいくつかの演目の「役柄」をデフォルメした存在。特定の役者ではない。また、芝居をしてくれるわけではないので、格闘を思いきり楽しんだ後は、うーんちょっと飽きるかもしれないなあ、というのが正直な感想。だが、クスッと笑えるし、「意外性!」がある。定九郎が宙を飛ぶのは一見の価値があるかもしれない?