市川新之助(成田屋)
12代目市川團十郎の長男。2004年には11代目市川海老蔵を襲名する予定。その横顔は”海老様”と言われ凄まじい人気を博した11代目團十郎を彷彿とさせるため、往年のファンがまた歌舞伎座に戻ってきているという話もある。お茶のCMでも「歌舞伎がちょっと得意な男です」と凛々しい姿を披露。雑誌の特集や写真集も多く、若手人気ナンバーワンといえるだろう。市川宗家の十八番『勧進帳』『助六所縁江戸桜』で弁慶、助六を演じる。玉三郎相手に鏡花の『海神別荘』などにも挑む。まさに21世紀の歌舞伎を担う超注目の役者。
尾上菊之助(音羽屋)
7代目尾上菊五郎の長男。尾上菊五郎、富司純子、寺島しのぶと家族は皆役者の芝居一家。かつて菊之助幼きころ(丑之助時代)、歯磨き粉のCMに一家で出演していた頃の、前歯の大きなあどけない顔がうそのような最近の艶やかさ。NHKの『トップランナー』へ出演した際には、現代的な感覚に加え頭の良さを感じさせた。女形はもちろん、お嬢吉三、『勧進帳』の義経、弁天小僧など受け継ぐ。NHK大河ドラマや蜷川幸雄の『グリークス』でも公演。美しさと実力で超有望株の役者。
尾上辰之助(音羽屋)
初代尾上辰之助の長男。先代の辰之助に似た江戸前の芸風と大きな眼の風貌で荒事に適しているといわれる。日本舞踊・藤間流家元、藤間勘右衛門でもある。『鳴神』『対面』の五郎、『勧進帳』弁慶などを経験。2002年には初代辰之助が襲名を切望していた4代目松緑を襲名予定(2代目が辰之助の祖父、3代目は父・初代辰之助に贈られる)。昨年の大河ドラマでは徳川家光を演じるなど幅広く活躍するこれも将来非常に楽しみな役者。
『源氏物語』という芝居もかつて彼らの祖父・父らが演じ、新之助は平成時代の光の君を新たに作り上げたようです。正直言えば、一つの演劇作品としては、暗転が多かったり、現代風の台詞の違和感が気になったりで、まだまだ改善の余地は少なくないのですが、何より新之助演じる光源氏の美しさ、菊之助演じる紫の上の気高さと可愛らしさ、辰之助の頭中将の精悍さが、芝居に「説得力」を与えています。
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