目標に向かってストイックにがんばる女性の魅力
『おと・な・り』では古いアパートの隣同士となった男女が生活音のみで惹かれあっていく様子を繊細に描く |
ガイド:キャスティングは?監督がお決めになったのですか?
熊澤尚人監督:台本が最終稿になる前に、映画になる際に岡田君にやってもらえればいいなと思っていました。その点とてもラッキーでした。プロデューサーも聡の役は、岡田君に合っているよね、と言ってくれました。
麻生さんに最初の時点から麻生さんのような女優さんにやってもらえれば面白いよね、と言っていました。ただしその時点では麻生さんにはとてもたくさんのオファーがきていたようでした。ですが、順番に脚本を読んでいくなかで、これをやりますと言ってもらえました。その点もラッキーでしたね。
麻生さんが演じる七緒は、普通の女性を演じている生活感がとても不思議なファンタジックな感覚ですね。
そうですね。ファンタジックで魅力的だけれど、麻生さんがやることで説得力がでるんです。女性の目から見ると、映画の中の女性はリアルじゃないなと残念ながら思われることも映画ではあると思うのですが、麻生さんがやることでよりリアルで納得してもらえる女性になったのではないかと思います。
ガイド:秀逸なキャスティングでしたね。撮影中はいかがでしたか?
熊澤尚人監督:楽しみながら、4,5回以上はカットを撮っていたのですが、NGカットはなくて、微妙なバランスのところで探りながらいろいろなパターンを探っていました。
お芝居には正解がないと思いながら、一緒に作っていました。そういう意味ではふり幅が大きい中で、これが一番あっているんじゃないだろうかというのを探りながら作っていけたと思います。
ガイド:映画の出来で一番満足されているのは?
熊澤尚人監督:岡田君と麻生さんのお芝居に対しては素晴らしいというのは自信をもって言えます。また美術的なもの、映画のテイストは、他にはあまりないいい世界観が出ているような気がします。
ガイド:一人で生きている女性に対してのメッセージ性がありますね。
熊澤尚人監督:30台、20台前半、あるいは後半の女性には、自分なりにこういうことがやりたいというような目標を持ち、夢を持っている人がたくさんいるじゃないですか。大きい夢でなくても、目標に向かってストイックに誠実にがんばっている人たちです。七緒もそういう女性だと思います。
これを見て元気になってもらいたいと思いながら作ったのはあります。七緒は、映画の中で一度立ち止まって考える。焦らずに、自分の目標に向かって努力していただければと。その変な思いは七緒にでていると思います。
ガイド:恋を追い求めなくても、何かに一生懸命やっていれば、出会いがあるのでしょうね。
熊澤尚人監督:何かに一生懸命な人は魅力的です。そういうことができないと、恋も多分ないのではないでしょうか。自分なりの目標にがんばっている人は、素敵だから恋に出会える。自分なりの目標にがんばっていないと、あまり素敵に見えないのでは?ま、いいかってあきらめてしまうような人は、恋がしたいと思っていても出会えないかもしれませんね。
ガイド:女性が魅力的ですね。男性の方が迷っている。まっすぐ感がない。
熊澤尚人監督:女性も迷いはあると思いますが、女性の方がしっかりされている人が多いような、男性の方がウダウダなやんでいる人が多い。女性の方が決心して努力されている人が多いのではないかと僕は思います。
ガイド:今後は?
熊澤尚人監督:いつも、普段日常の中で生活していて忘れがちだけど、これって大切だよねと思うようなことをいつもテーマに作っています。見落とされがちだけど大切なことが伝わるような映画を作りたいと思います。おとなりは、30歳ぐらいの人が主人公です。今までは10代の人の映画が多かったのですが。今後は年齢が高い人の映画も作りたいと思っています。
ガイド:熊澤監督ありがとうございました。
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