『ランボー』は傷ついた孤独な男の戦いを描く
(C) 2007 EQUITY PICTURES MEDIENFONDS GMBH & CO.KG IV 2008年5月24日、日比谷スカラ座ほか全国東宝洋画系にてロードショー |
『ランボー』シリーズは、その後、第二作目の『ランボー/怒りの脱出』、第三作目の『ランボー/怒りのアフガン』と続き、特に大ヒットを記録した二作目以降、”ランボー”イコール戦争マシーンというイメージが植え付けられました。
一作目が反戦映画だったのに対し、その後の作品は”好戦映画”と姿を変え、アクション映画として大ヒットした反面、主演・脚本のシルベスター・スタローンはラジー賞の常連にもなってしまいます。
ちなみに第二作目では『タイタニック』のジェームズ・キャメロンがオリジナル・スクリプトを書いていることでも有名です。
元々の”ランボー”は、戦いたくて戦っているわけでもなく、ベトナム帰りで傷を受け、孤独と無理解に苦しむ男です。無実なのに逮捕され、拷問を受けたことから、とうとう最後には立ち向かうストーリーなのです。
最新作は、一作目の精神を受け継ぎ、男のロマンを描く
(C) 2007 EQUITY PICTURES MEDIENFONDS GMBH & CO.KG IV 2008年5月24日、日比谷スカラ座ほか全国東宝洋画系にてロードショー |
ジョン・ランボーは、世捨て人のようにタイの山奥で蛇漁をしながら孤独に静かな生活を送っています。隣国ミャンマーでは軍事政権の下、少数民族のカレン族が迫害を受けていますが、ランボーは、どうしても戦わなくてはならない理由ができるまでは動きません。
無視できない理由ができれば、誰が何を言おうと自分の戦いをするのがジョン・ランボー。「無駄に生きるか、何かのために死ぬか、自分で決めろ」と言い放つランボーは、目的をしっかり見据えた怖いまでの迫力を秘めています。
CGを駆使して描かれる戦闘場面、迫害場面の残虐描写は半端ではありませんが、現実に世界で起きている恐ろしい出来事の数パーセントしか描ききれないとスタローンは言っています。
男のロマンばかりではなく、現実にどう生きていくのか、どう世界を理解していけばいいのか突きつけるのが”ランボー”シリーズの醍醐味。
さらに映画のラストでは、戦場に生きる男であろうと、他にももっと大切にしなくてはならないものがあることが、さらりと描かれていることも注目です。
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